第15話 窮鼠猫を噛む?
窓の外を見てみると日差しが散々照らしている。
外では生徒や地域の役員、様々な人達が熱気溢れながら動いている。
「暑くないのか?」
俺はつい、呟いてしまった。
俺が今いる場所はいつも使っている教室だ。
最近の学校ではエアコンが付いており昔よりもハイテクになった。
「暑い~。何で私があんなに走らなきゃいけないのよ?」
「お疲れさん。辛そうで何よりだな。」
教室に入ってきた清水を嘲笑ってやった。
「あんたは良いわよね。何もしなくていいんだから。あ、何もしなくていいんじゃなくて、何もさせてもらえなかったのか!」
こいつマジでぶん殴りたい!
「お前は本当に人をイラつかせんのが上手いんだな。いや~流石は元リヤ充さんだな。」
「はぁ~!?あんたね!私をバカにするのもいい加減にしなさいよ!」
「ちょっと、伏見君も清水さんもそこまでにしよ?ね?」
大鳥が俺達の間に入って止めた。
くっ!何でこんなに可愛いんだ。特に最後の「ね?」の部分が特にグッと来てしまった。
「何をニヤニヤしてんのよ。」
「な、何でもねぇよ。」
「それよりも、もうすぐ昼休みになるから準備して体育館に行こ?」
ああ、もうそんな時間だったのか。
「分かったよ。じゃあ行くかね。」
「ちょっと待ったー!」
清水がいきなり大声をだし俺達の前に立った。
「ねぇ?私たちってチームメイトよね?ならさ、ちょっとチームらしいことしてみない?」
「チームらしいことってなんだよ?」
大鳥も不思議そうに首をかしげている。
「だから、円陣をして伏見君が指揮が上がるようか事を言えばいいのよ。」
「はぁ~?面倒だからやだよ。」
「僕もやりたいな、円陣……。」
大鳥がボソッと呟いた。
「よ~し!円陣やってみるか!」
「何で急にやる気になるのよ。」
「いいから、さっさとやるぞ。」
円陣を組むと大鳥や清水の顔が近くにあり少し緊張してしまった。
「何言うかな?特に決めてないしな。」
「いいから何か言いなさいよ。何でもいいから。」
無茶苦茶だな、おい。そうだな……。
「じゃあ適当に、ふぅ~俺達はネズミだ。物凄い弱いな。そして今日俺達が試合する相手は猫だ。だけど恐れるな、諺で窮鼠猫を噛むて言う言葉があるだろ?」
そこで一旦言葉を止めた。そして一息つきまた話始める。
「なら、追い詰められた鼠がどんなに恐ろしいか見せてやろうぜ。弱い鼠が猫を狩るんだ最高の演出だろ?勝って最高の終わりかたにしようぜ!」
「「お、おーう!!」」
何かスベってない?俺スベってない?
「な、何かあんたがまともなことを言うなんて以外だなと思って。ボッチのコミュ障のくせに。」
「ぼ、僕も以外だなって思ったちゃった。」
お前らがやれって言ったのに、おかしいだろ!おかしいだろ!
「もういくぞ!」
「ちょっと、待ちなさいよ!」
「え、ちょっと待って。」
そう言うと俺達は歩き出し、その足取りは何故か揃っていた。
何だか、ここ最近何か色々あったような気がする。
ただ、なんだか。こんな偽物の関係でも少し心が癒されるような気がしている。だから、もう少しだけこの偽物の関係でも続けていいかなと俺は少しだけ思ってしまった。
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