第1章 俺と村と神のギフト

第1話 どうやら俺は特別な人間らしい

 今日はこの世界における大事な日。

 3歳になる子供は教会へ行き、神様に自分の可能性を見て貰う日だ。


「エリオット、今日は良い日になると良いわね~」


 そうお母さんに言われる僕ことエリオットも今日で3歳の為、お母さんの手を握って教会へと向かっているところだ。


「今日は僕の大切な日なのに、僕よりワクワクしてるってお母さんヘンなの」


「あら、ワクワクしたって良いじゃない。

 だって今日は神様にエリオットがどんな人になれるのかを見て貰う日なのよ?」


 神様のいう事は絶対みたいな所があるが、実際のところ神様が『農家として生きていきなさい』と言った所で冒険者になる人がいるくらいで、何も絶対というわけではない。


 そんなこんなしている間に村の教会に着いた僕たちは、早速僕だけ教会の女神像の前に連れられた。


「さぁ、それでは女神様の前でお祈りをしてくれるかな?

 そうすればきっと女神様の声が聞こえてくる筈だよ」


 そう司祭様に言われるがままに女神像の前でお祈りをしていると、何処かに飛ばされたようなそんな気がした。


「…ん、あれ?

 ここは…何処?」


 僕がよく分からない場所をキョロキョロと見渡していると、後ろから声が聞こえた。


「ようこそ私の世界へ。

 そして、3年ぶりですね。…エリオットさん。」


「え…何で僕の名前を知っているの?

 それに、『3年ぶり』って…」


「…そういえば記憶を無くしてらっしゃるのですよね。

 私は輪廻と可能性の神アカーシャ。そして此処は私の作った世界です。」


 僕が訳が分からないって顔をしていると、女神様はニコリと微笑んでこっちに来た。

 …あ、なんだか懐かしい匂いがする。


「それではエリオットの可能性…はもう分かっているので大丈夫です」


「え、もう分かっているの!?」


「ええ、勿論です。

 あなたは可能性として『冒険家』、それも『特別な獣使い』へとなる事が出来ますよ」


「え?

 僕、冒険者になる事が出来るの!?

 やったぁ!!」


「ええ、良かったですね。

 …でも冒険者は大変危険な職業ですよ?

 最悪の場合、貴方のお母さんを悲しませる事になるかも知れませんが、それでも良いのですか?」


 …確かにキケンかも知れない。


「でも、『獣使い』なんでしょ?

 なら、みんなと一緒だから大丈夫だよ!」


 すると、どこか安心した様子で


「それなら心配ありませんね。

 では、私から貴方に祝福を授けましょう」


 女神様の手が僕の頭に触れたと思うと僕はいつの間にか教会へと戻って来ていた。


「あれ、僕、いつの間に…?」


 僕がポケっとしていると、司祭様が近づいてきた。


「お帰り、エリオット。

 その様子を見るに、どうやら女神様に会ってきたんだね」


「うん、司祭様。

 僕はどうやら冒険者の獣使いになるそうです」


「おお、そうかそうか!

 それじゃあ、あそこの待合室で待っているお母さんにもその事を話しておいで」


「うん、司祭様!」


 そう言って、僕はお母さんの待っている待合室のドアを開けた。


「お母さん、聞いて聞いて!

 僕、『冒険者』になれるんだって!」


「あらそう、良かったわねエリオット!

 流石、お母さんの自慢の息子ね!」


 そうして僕は来たときと同じようにして、お母さんの手を握って我が家へと帰ったのだった。

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