第9首 スナネコ

あつ

うつろひえつつ

きょうはおつ

しき人

またあそばずや


【現代語訳】

熱くなったと思えばすぐ凍るようになって

心移ろい、興味は消えながら今日は終わるけれど、

明日はまた新しい何かに心を踊らせる

だから砂漠に来た不思議なお客さん、また遊びましょ


【解説】

「熱し(あつし)」は熱い、暑い。

「も」は接続助詞で、ここでは逆接の仮定条件「〜としても」。連体形に接続するため、本来は「あつきも」となる(ここでは「き」を省略している)。

「凍つ(いつ)」は凍る、いてつく。

「移ろふ(うつろふ)」は心変わりする。

「消ゆ(きゆ)」は消える、無くなる。ここでは興味を失うこと。

「つつ」は接続助詞で、後述する2つの意味に対し、①に対しては単純接続、②に対しては逆接である。

「きょうはおつ」は掛詞で、

①「今日は落つ(今日の日は沈む、今日が終わる)」

②「興は復つ(興味が元どおりになる、復活する)」

の意味を持つ。

「然ば(さば)」は接続詞で、それでは。

「奇し(くし)」は不思議な、神秘的な。

また「然ば奇しき人」は掛詞で「砂漠し稀人」になる。

この「し」は強意の副助詞。

「稀人(きひと)」は外部からの来訪者、客人(読み方は創作。普通は「まれびと」と読む)。

「ずや」は打消の「ず」の連体形+係助詞の「や」で反語の意を表す。

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