第7首 アルパカ・スリ

何為なにすれぞ

高地こうちひし

しろはな

さきはへとぞ


【現代語訳】

その白い花は、何のためにこんな高地に生え育っただろうか

この地のあちこちで芽吹く縁が、伸びて花を咲かすように、皆がゆったり幸せになることを願っているのかも知れない


【解説】

「何為れぞ(なにすれぞ)」はどうして、なぜ。この「ぞ」は係助詞だが、ここでは係り結びを受ける「生ふ」で結びが消失している(結びの流れ)。なお最後の「ぞ」も同じく係助詞であるが、そちらは係り結びを受ける言葉が省略されている(結びの省略)。

「や」は係助詞で疑問を表す。後出する「地や」の「や」とは違う。

「生ふ(おふ)」は生える、伸び育つ。

「し」は過去の助動詞「き」の連体形。

「地(ぢ)」は陸地、土地、本性、現実。

「や」は間投助詞で、上の体言を下に結び、感動を表すと共に語調を整える。

「張る(はる)」は芽吹く、芽が伸びる。

「交ふ(かふ)」は動詞の連用形に付いて、「互いに〜する、それぞれ〜する」の意味になる(現代語での用法とほぼ同じ)。なお、古語における「交ふ」の連体形は「交ふる」であるが、ここでは語調を整えるため、現代語のように「交ふ」としている。

「縁(え)」は人と人の結びつき、繋がり、縁故。

「伸ぶ(のぶ)」は伸びる、遅れる、のんびりする、逃げのびる。

「幸ふ(さきはふ)」は幸福になる、栄える。ここでは「咲き」の意も込めている。

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