ひとりぼっちになれたなら

飴宮ヒラリ

かさ

ぱらぱらと降る雨をきいて傘をさして歩くとかなしくなる


傘は色にあふれていれ、あざやかなのにさみしくなる


ひとりひとつだから


ふたりでは持てないのだから


傘をかたむけて見上げても、ちっともあかるくなくて


人込みで立ち止まることが怖くなる


夏がくるのに すぐそばにいるのにこんなにもひとり


だけど、夏と傘は一つになれないから、ひとりずつでしかたのしめないから


きっと二人はひとりでいるんだね


さみしいを自分で選ぶのに さみしくって立ち止まる


跳ねるようなはじける音でさえ怖くなるのは


後悔があるから




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ひとりぼっちになれたなら 飴宮ヒラリ @hira_hirari

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