決意
翠幽月
トンネル
どこにも知られていないトンネルがあるとする
そこには出口はないらしい
勿論、その先に何があるのか分からない
知らない
一度入ったら、どうなるか分からない
帰ってこられるか分からない
勇気を出してそのトンネルに入る人間がいたとする
それはどのくらいなのだろうか
一割?
多くて、三割だろうか
私たち人間は、失うものが多い
家族、友人、愛、友情、地位、名誉・・・・
そして、それらは失いたくはないと思っている
一度失ったら、それは取り返せない
喉元に死神が鎌を突きつけている感覚と似ている
死神の気まぐれで、ある日突然奪われる
仮にトンネルに入ろうと決意したとする
人間は失いたくない、あるいはこの先失うであろうものを思い浮かべる
全部大事なのだ
分かっている
だが、私はトンネルに入りたい
冷たいやつだろう、私は
この先、失うものを捨てたのだから
失うものは大事しなければならないと思っていた
でも、それ以上に
私は自分の思うことをしたい
口先だけで大事であると言いたくない
それは大事なものを盾にしているのだ
盾の後ろに隠れて泣いているのならば
私は泣かない
大きな声で、ただ愛しているという
他人と比べたりしない
私は自分のペースで歩く
やり方はそれぞれだ
人と同じことをする必要はない
なぜなら、私は
世界は自分の思い通りなのだとか
自分は何でもできるとか
そういう風に思って前に進んでいるから
そんな傲慢で、呆れるほど不遜でいたい
それは私が幼いころから望んだこと
これから先も、私が願い続けていること
決意 翠幽月 @long-sleep
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