第2話幽霊部員
前回までのあらすじ︰忘れ物取りに行ったら誰かいた。
「え・・・?」
その女の子は、学級日誌を書いていた。
「(きれいな字だな・・・)」
遠くから見ても、そう思った。
「あの!」
思いきって声をかけてみる。下校時刻はとっくに過ぎている。それに、電気を消していたなんてびっくりだ。
女の子は僕の声に驚いて、こっちを見た。
「あなたは、私が視えるのですか・・・?」
「私は、祐鶴(ちづる)といいます」
祐鶴ちゃんは、そう言った。
「新聞部の、幽霊部員です」
「僕は白石祐眞。校内掲示部。よろしく」
僕は手を差し出した。
「え、と・・・」
祐鶴ちゃんがとまどって、僕は彼女が最初に教えてくれたことを思い出した。
『私、幽霊なんです』
「あ、・・・ごめん」
僕は手を引っ込めた。
「幽霊部員って、そのまんまの意味なんだね・・・」
「はい。いつも気づいたらこの教室にいるんです。きっと生前はここがお気に入りだったのかなーなんて思うんですけど、やっぱ覚えてなくて・・・」
祐鶴ちゃんには生前の記憶がないらしい。
「どうして、学級日誌を書いてるの?」
「分かりません。ただ、新聞も、学級日誌も、書かなきゃって思うんです。書いている時が一番落ち着くんですよ。
ところで、祐眞くんはどうしてここに?」
「あ、」
完全に忘れてた・・・!!
僕は慌てて窓側一番後ろの席に向かう。机の中の原稿を手に取り、祐鶴ちゃんの所に戻る。
「忘れ物取りに来たんだ」
ふと時計を見ると、僕が学校に入ってからすでに15分が経過していた。
「ごめん、祐鶴ちゃん。僕、もう帰らないと」
「・・・はい、わかりました」
僕は原稿をかばんにしまい、背負う。
「・・・あ、明日、朝練の時間に、来るから・・・・・・。また明日っ」
教室から出て、廊下をダッシュする。
自分で自分の顔が赤くなっているのがわかった。
家に帰ってからも、祐鶴ちゃんのことが頭から離れなかった。
僕は、特に霊感が強いわけでもなく、そういうものを視たことがあるというわけでもなかった。
じゃあ、なんで祐鶴ちゃんは視えたんだろう・・・。
(つづく・・・)
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