新聞部の幽霊部員[零]

紅音

第1話摩訶不思議

はじめに︰この物語はフィクションです!


みんなは、幽霊を信じますか。

……なんて、急に言われても困ると思うけど。

これは、「普通の学校生活」を目指している僕の、摩訶不思議な日常の物語。


僕は、桜坂(さくらざか)市桜実(おうみ)中学校2学年、白石祐眞(しらいしゆうま)。

この間の春に、進級したばかりだ。

所属している部活動は校内掲示部。委員会はジャンケンで負けちゃったから無職。

まぁ、自己紹介はこのくらいにしておこう。

「祐眞ぁー!」

そう僕を呼んで教室に入ってきたのは、隣のクラスで幼なじみの、三谷巧磨(みたにたくま)。ソフトテニス部所属。僕は彼を巧と呼ぶ。

「巧、ちょっと待って。あと10分」

今日は日直だから学級日誌を書かなきゃいけない。あとは戸締りとか、机の整頓とかもやらなきゃいけない。

「お待たせ。……あ、祐は今日日直か。じゃあ俺、机やるよ」

僕のことを「祐」と呼ぶ、このメガネイケメン(心も)は、暦朔真(こよみさくま)。陸上部所属。僕は彼を朔と呼ぶ。僕とも巧ともクラスが違う幼なじみ。

朔は、イケメンな上に、優しい。でもって陸上やるときはコンタクトにしてメガネを取るから、超かっこいい。しかも超速いし背も高いし、勉強もできるというハイスペックさで、超モテる。

巧はリーダーシップがあってムードメーカーで、男らしい。背は真ん中より高くて、足は朔と同じくらい速い。女子に人気がある。

僕はというと、勉強は常に学年40位以内、足は二人には勝てないけど速い方である。が、ほかの事に関しては、まぁ普通だし、ていうか自ら「普通」を演じているので、特に目立つわけでもない。目立ちたくないから、とりあえず今はいいと思っている。

「終わったーっ」

学級日誌を書き終えた僕は、軽くのびをして立ち上がる。

残りの仕事も済ませ、僕たちは教室から出た。

今日は、「水曜日課」なので、部活動がない。

「もうすぐ仮入部も終わりかぁ。後輩何人来るかなー。朔真んとこ、どーよ?」

巧が言った。

「まあ陸上部だからね。それなりにいるよ。……今年は、なぜだか女子の割合が高いんだよね。祐は?」

それは、朔のせいだろ、絶対。

「ウチの部、仮入部ないからなぁ。ま、それでも毎年部として成り立つくらい人来てるっぽいから、今年も大丈夫だと思うよ」

校内掲示部は、基本週2日(月、木)しか活動しない。仕事があればごくたまーに招集がかかり、活動日以外でもやるときはあるが、仕事さえなければ、早めに終わることもある。とても楽なので、人が来る、ということだ。

「オレんとこ、今年も人数多そうなんだよな」

巧が呟く。

「あー、テニス部はなー。おつかれさん」

僕が言うと、巧ははあっとため息をついた。


下駄箱から出て帰り道、新しい担任の話や授業のこととかを話している時、僕は忘れ物をしたことに気がついた。

「やっべ……」

「どうした?祐眞」

僕が忘れたのは、最近新聞部と協力して作成している「部活丸わかりガイド」という冊子の原稿だ。締切が明日までなので、今日家で仕上げようと思っていた。

「学校に忘れ物した! 悪い、今日は先に帰ってくれ!」

来た道を戻りながら叫んだ。

「気をつけろよー!」

「じゃあなー」

巧と朔は大きく手を振って叫んだ。


数分のダッシュののち、昇降口はもう閉まっているので職員玄関から学校に入る。

事務室の先生に忘れ物したことを伝え、スリッパを借りる。

確か、昼休みに新聞部の部室で少し進めたあとは何もしてないはず……。

「(あ、鍵借りてくるの忘れた……)」

一か八かで戸を引く。

「(あれ、開いてる……?)」

中に入り、電気をつける。

「え……?」

そこには、黒髪混じりの白髪の女の子が座っていた。


(つづく・・・)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る