第16話 竜音、声優にチャレンジする

 ある日、竜音は怪しい男性に呼び止められたのである。


 「君、声優やらへん?」


 「声優?」


 「そう!地図渡すから明日学校終わったらここに来て!」


 「ところでオジサンだ~れっ!?」


 「僕?僕は【星野ほしのランプ】と言うんだ。声優プロダクションのオーナーだよ。」


 この男性は声優プロダクションの経営者らしい。


 「どうだい?」


 「もしよければよろしくお願いしますっ!!」


 「ありがとう!!」


 結局お誘いを受け入れてしまった竜音は明日はスタジオに行くことにしたのであった。そして帰る竜音を見つめながら星野は怪しい目付きで睨み付けていたのである。


 「(・・・)」



 【翌日】


 学校を終えた竜音は大阪市内の声優スタジオに現れた。するとある若い女性が現れたので竜音は声を掛けた。


 「はじめまして、私は虎ヶ島竜音と言いますっ!!」


 「私は【前我まえが三重寧みえね】といいます。」


 「前我さん、本日はよろしくお願いしますっ!!」


 「こちらこそよろしくね!竜音ちゃん!」


 竜音は共演者らしき人物に声をかけて皆からの評判を得てから指導をまず受けることになった。この日はジャングルを冒険するトレジャーハンターが主役のアニメのアフレコであった。


 「さあ!本番だぁ!」


 「はい!!」


 人気声優の【そう充至じゅうし】に声をかけられた竜音はヤル気満々でアフレコの本番に臨むことになったが・・・


 「はい、始まるよ!」


 「はい!納谷なやさん!」


 すると竜音の視界が白くなったのである。そして・・・


 「あれ、私何でジャングルに?確かスタジオにいたはずだけど・・・」


 辺りをキョロキョロ見渡していると突然動物達に囲まれてしまったのである。


 「え・・・?どうなってるのこれ!?」


 すると周りを囲む動物達が一斉に襲い掛かってきたのだ。


 「きゃあああああああ!!」



 ・・・・・・


 「おーい、竜音ちゃん?」


 「あれ?私は・・・?」


 「少し顔に怪我をしてるね?大丈夫かな?」


 「大丈夫・・・です。」


 いつの間にかスタジオに戻っていた竜音であった。心配してくれた荘に起こしてもらった竜音だがテンションは低くなっていた。



 ・・・・・・




 「ガオオーッ!!」


 「きゃあああああああ!!!」


 「!?」


 竜音の役は動物に襲われるトレジャーハンターの女性役だったが先程の出来事が脳に染み込んでいたのかすごい声を出してしまい隣にいた猛獣役の男性の目を点にしてしまったのだ。


 「君、なかなかやるね!」


 「・・・え!?」



 ・・・・・・


 スタジオの外で他の声優達と別れる竜音。


 「お疲れ様!また来てね!」


 「はいっ!!」


 そして竜音はそのまま帰宅したが気になることがあったようだ。


 「(あのジャングル・・・何だったのかしら?)」


 そして竜音を見つめる星野の姿があった。


 「(あの子・・・やはりな。あの方・・・に連絡しなければ。)」


 一体声優スタジオでの竜音に何があったのか?星野の目的は何なのか?未だに謎は尽きないのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る