第14話 竜音、意味不明になる(後編)

 幸いこの日は学校では大人しかった竜音だが明らかに何かを抑えているかのような様子を見せており、学校が終わった途端に竜音は羽根を生やして飛んでいくのであった。


 「抑えていた感情を吐き出すゼーット!!」


 竜音はどこへ飛んでいくのだろうか。



 《その頃の三重県のある高校》


 三重県のとある高校の職員室にて教員達が集まっていたのである。


 「高岡君、いつも我々の学校は平和でいいねえ!」


 「そうですね賢島先生。」


 会話をしていたのは若くて背の高い【高岡たかおか武尊たける】と中年で白髪の生えた【賢島かしこじま須佐男すさお】の二人であった。


 「やあ、二人とも楽しそうだね。」


 「中川先生!」


 二人の会話に入ってきたのは眼鏡をかけた初老の【中川なかがわ慶喜けいき】であった。


 「いやあ~、我々の学校はいつも平和で・・・」



 “パリーン!!”



 「え!?」


 突然窓のガラスが割れた音がしたため3人が窓の方を向くと竜音がいた。


 「わーい、3人も遊び相手がいる!!」


 「ふぉぉぉーーっ!!?」


 その時、ガラスの割れた音と悲鳴を聞いて駆けつけたイケメン教諭の【川合かわい幸彦さちひこ】が職員室に到着すると3人は倒れていたのであった。


 「中川先生!?賢島先生!?義兄さん!?何があったのですか!?」


 「ああ、ちょっと・・・平和な状況ではないようだ・・・」


 「え!?どういうことですか?」



 一方、竜音は学校をめちゃくちゃにしてはどっかへと飛んで移動していたのである。


 「いやはや~、楽しい・・・ってあれ?私何をしているんだろ?」


 なぜか竜音は正気に戻ったのか冷静な顔つきでボーッとしていたのであった。



 その時学校では中川達が他の教員達に何があったのか説明していた。


 「一体どういうことですか?」


 「石橋君、突然女の子が現れて私達3人に強烈に抱きついてきて身体を弱らせられてまるでおもちゃで遊ぶ子供のように揺すられてそれでヘトヘトになったんだ。」


 「おもちゃで遊ぶ子供のように?」


 新米教師の【石橋いしばし孝昭こうしょう】に詳しく説明する中川。その時、高校の校舎を見つめるニット帽を被った若い男性がいた。


 「(あの女、どうやら特殊な興奮剤を飲まされていたようだな。しかし誰が持っていたのか。もしかしたらやつら・・・と関わりを持った連中に飲まされたのか?)」


 意味深な言葉を呟くと男性はどこかへ去っていったのであった。



 【翌日】


 職員室にて竜音は【大三だいぞう誉津ほまれつ】先生に怒られていた。


 「被害届が出なかったからよかったものの一体何をやっているのかね君は!?」


 「ごめんなさーい!!本当はごめんなさーい!!」


 竜音はいつものテンションに戻りつつもお灸を据えられていた。そして日常に戻りつつあったのだが・・・


 「さーて、反省したしもう帰ろーっ!!」


 「やあ、君は天使の羽根を持つ子かね?」


 「え・・・あなたは?」


 校門前で突然竜音に声を掛けてきたニット帽の男。竜音は少し戸惑うのであった。

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