第9話 竜音の林間キャンプと招かれざる客(中編)
とにかく竜音にとって不安だらけの林間キャンプの初日は学校周辺の山の中の探索である。
「(さてどこへ行くんだろ・・・)」
竜音と同じく何らかの理由からこの林間キャンプを不安視しているコーイチは嫌々山を歩いていたのであった。
「(あれ、虎ヶ島さん?)」
コーイチは虎ヶ島を見つけて声をかけようとしたがいつの間にか先に行かれてしまい声をかけられなかったのであった。
「あ・・・居なくなった。」
走って追いかけるコーイチだったが影で彼を見つめる怪しい人物がいたのである。
「(・・・・・・・・・)」
竜音は先程までの不安はどこへやらキノコ探しや植物観察などにはまり、何やかんやで楽しんでいたのであった。
「きゃーっ!!!ミミズっ!!」
ミミズが草から出てきたのでびっくりする竜音であった。皆がそれを見て笑い、雰囲気は良くなってきたのである。ところが・・・
「(・・・笑っていられるのも今のうちだ・・・)」
先程の怪しい人物が今度は竜音達を影から見ていたのであった。不気味な笑みを浮かべながら目を輝かせていたのである。
《夜》
林間キャンプの夜は自炊でカレーを作ることになったのである。皆で作った鍋の中のカレーは美味しい匂いがして皆で食べると美味しかったのである。
「うまいっ!!」
「美味しいね~っ!!」
「ちょっと
「良いじゃねえか別にっ!!!」
何やかんやで盛り上がる夕食の時間。しかし例の怪しい影はまたもやその様子を眺めていたのである。
「(いよいよだな・・・!!)」
その時、一人でカレーを食べるコーイチの元に自分のカレーを持ってきた竜音が現れたのであった。
「虎ヶ島さん・・・」
「コーイチくん!!淋しいよ~!?だから一緒に食べようよっ!!」
「あ・・・ありがとう!!」
二人で食べていると楽しく会話が弾む。食事が終わると皆で片付けをしてからキャンプファイアをするのであった。その時竜音はお腹をさすると男性教師の一人に声をかけたのである。
「
「虎ヶ島か?ああ、構わないよ。行ってきなさい。トイレは校舎から少し離れたあそこの小さな建物だ。」
「ありがとうございます。」
そして急いでトイレへ行く竜音だが、例の怪しい人物が彼女について行くのである。
《木造校舎の離れ便所》
離れの古い便所は個室が6つもあり、左3つが女子用で右3つが男子用である。その左の二つ目に入る竜音であった。すると怪しい人物はその個室に近付くと・・・
《木造校舎の校庭》
キャンプファイアも終わり、盛り上がりも落ち着く校庭。しかし竜音は帰ってこないのであった。するとそれに気付いた花守は皆に声をかけたのである。
「みんな!!虎ヶ島がまだ帰ってきてないんだ。」
「竜音ちゃんが!?」
「どこへ行ったの!?」
「確かトイレへ行ってから・・・」
コーイチは花守達の会話を聞き付けてすぐにトイレへ向かうのであった。すると左から二番目の個室の入口にはベニヤ板が釘で打たれた状態で貼られており、扉を叩く音がする。
「ここか!?」
そして板を剥がすために皆を呼ぶと全員で板を引っ張ったり釘を教師が持っていたドリルのようなもので外すなどして時間をかけて・・・
「やっと・・・剥がせた。」
コーイチはすぐに扉を開けると個室内に竜音がいたのである。
「コーイチくん・・・みんなぁ~っ!!」
泣きながらコーイチに飛びかかる竜音。コーイチは竜音を受け止めると少しこまったような表情をしながらも・・・
「本当に良かった。無事でな・・・!!」
「コーイチくん・・・ありがとう!!それと心配かけさせてごめんなさい!!」
「良いよ良いよ!!それより誰だ、こんなことをしたやつは!!」
「フフフ・・・私だよ!!」
「誰だっ!?」
後ろから声がしたのでコーイチは振り向くとそこには拝高里がいたのである。
「管理人さん!!なぜあなたが!?」
「いやいや・・・ちょっと訳がありまして皆様の臓器が必要でして・・・皆様には死んでもらいます。」
詳しい経緯は不明だが明らかに竜音達を狙う拝高里は拳銃を取り出して集まった生徒や教師達に向けて銃を構えた・・・が・・・
「あなたね・・・」
「どうされましたか?お嬢さん。せっかくこの個室内で餓死してもらおうと思っていたのに計画が狂ったじゃないですか。」
「私をこんな場所に閉じ込めて・・・心に深い傷を追わせようとしやがって・・・!!!許すまじっ!!」
「(声が変化してる!?)」
急に竜音の目付きはするどくなり、声もドスを利かせたようなものとなるとコーイチは驚いたのである。そして竜音は羽根を生やすと拝高里に向かって羽ばたきながら突進したのである。
「フフフ・・・拳銃で撃てば・・・ってええっ!!!?」
何と銃撃が竜音に効かないのである。そして竜音のタックルが拝高里に炸裂するのであった。
「ぐぉぉぉーーーっ!!!?」
タックルを受けた拝高里は吹き飛び、竜音は正気に戻ったのである。
「あれ~?私は何を~・・・って管理人さん!!どうしたの!?誰かにやられたのですか!!?」
「(お前にやられたんだよ!!)」
自分が倒したことを覚えていない竜音に全員が総ツッコミしたのであった。そしてこれを機に竜音にとって色々ややこしい事態に事が進むのであった。
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