第5話 竜音と『きのむら冒険部』の面々
ある日、竜音は校内をうろうろしているとある教室から声が聞こえたのでとりあえずドア越しに中の会話を聞いているとある男子生徒に声をかけられたのである。
「やあ、君!!」
「わぁぁーーっ!!ごめんなさぁーーいっ!!!中から楽しそうな声が聞こえたのでちょっと・・・」
「なら中に入りなよ。僕達はいつでも新入部員を歓迎しているよ!!」
「い・・・いや・・・別に・・・」
「さあ遠慮は要らないよん!!」
男子生徒に右手を引っ張られて部屋に連れ込まれた竜音の目の前には8人の男女が居たのであった。
「おっ!新入部員か!?俺は
茶髪で少し目の鋭い太地漁一。
「僕は
眼鏡をかけた爽やかな古座川泳二。
「俺は
スポーツマンの雰囲気漂う有田金寛。
「私は
ポニーテールが似合う広川海鈴。
「私は
「そして俺が留琉の兄の
ロングヘアでおしとやかな留琉と爽やかな顔だが上の歯が少し出ている栄留斗の串本兄弟。
「うん、俺は
少しふくよかだが優しい目をした白浜結。
「はじめまして!!僕はこの部の副部長の
冒険家のような顔つきをした牟婁龍村。
「みなさん、彼女と仲良くしてあげてくださいね!!僕は部長の
なんと普通の男子学生と思われていた竜音を部活に連れてきた人物が部長であったのだ。部長は竜音に謝りながらもアットホームな雰囲気のこの部活を竜音に楽しんでほしいと願う。
「・・・部長さん。よろしくお願いしますね!!みなさん・・・突然ながらよろしくお願いしまーーーっす!!!」
「しかし君っ!!テンションが高いね!!楽しくしていこうね!!」
個性溢れる部員達を前に竜音は挨拶をすると牟婁は優しく竜音に声をかけたのであった。すると・・・
「わふっ!!おいっ、邪魔するぜ!!」
「もう廃部する気になったコマか!?」
「あ、君達はっ!!」
「誰ですかっ!?」
突然部室に現れた二人組・・・左の赤い帽子を被り、学生服の下に水色のシャツが見える【
「彼らは『河内連合』のトップ3の二人でなぜかこの部活の廃部を企んでいるんだ。」
「・・・それは良くないですねぇ~っ!!」
すると二人組は竜音の方を向くと目を険しくしたのであった。
「お前にゃ関係ねえだろ!?わふっ!!」
「君は新入りか・・・でも邪魔だから引っ込んでもらうコマよっ!!」
駒ヶ谷は竜音を用具入れの中に閉じ込めて南京錠でロックしたのである。用具入れがゴトゴト動くも皆が無視をしていたのであった。廃部を迫る二人に対して牟婁は問いかけた。
「君達、何が目的なんだ!!」
「学校に変な部活は要らないんだよ!!わふっ!!分かるかっ!!?」
「そうだコマ!!要らないから潰すコマ!!」
「またテツの野郎の命令かよ!!」
「はい、外野は喋らないコマ!!」
「外野じゃねえ!!太地漁一だっ!!」
怒りを露にする太地だったがすると用具入れの中が光り、その瞬間南京錠が取れたのである。それを見てしまった二人組は口を開けてポカンとしてしまい、太地もあんぐりしたのである。だが紀野や牟婁ら他の部員はなぜか冷静であったが・・・そして用具入れの扉が開くと中から天使の羽根を生やしてさっきより身長が大きくなって天使の服装をした竜音が現れたのである。
「もう・・・やめなさい・・・そこのお二人さん・・・」
「わふっ!!何だよお前!?」
「わわぁーーっ!!女神コマーーーっ!!」
すると竜音は二人に近付くと羽根で二人を護るかのように囲んで言う。
「あなた達は辛い思いをしてきたからこのようなことをされたのですね・・・大黒君、駒ヶ谷君・・・大丈夫ですよ。私があなた達を幸せにしてあげますよ。」
さすがの急展開に全部員が戸惑いはじめて大黒と駒ヶ谷は顔を赤くして涙を浮かべはじめたのである。
「楽しそうな部活だから・・・嫉妬していた・・・!!わふっ!!」
「僕達は不良みたいなものだから羨ましかったコマっ!!」
「俺らは・・・わふっ!!悔しいんだよっ!!くそっ!!言いたくないことが口から出てくる!!」
すると竜音は二人の頭を両手で撫でて語りかけたのである。
「もう・・・苦しまなくていいからね・・・」
二人は大粒の涙を流し、赤面となっていた。
「わふっ!!くそー、覚えてろよーーーっ!!」
「大黒せんぱーい!!待つコマーーーっ!!」
「また何かあったら来てくださいね。」
退散する二人に優しく手を振る竜音だったがすぐに身体から光を発して気がつくと元に戻っていたのであった。
「・・・あれ、私は?」
「大丈夫かい?良かった!!彼らは帰ったよ。」
「それなら・・・良かったです。」
部員達はこの変身に触れないようにするためか何も言わずにいたのであった。だがこれを見ていた人物がまだいたのである。
「(・・・あいつ・・・何だあの能力は!?)」
部室の中を窓から覗くコーイチがいた。彼が覗いていたのを誰も知らないがこれからはこの『きのむら冒険部』と色々な出来事に巻き込まれる竜音であった。
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