第4話 竜音、雪山に登る

 ある日、休みを利用して家族と共に竜音は久々に東北に戻ると雪山に登ることにしたのである。


 「さて山に登るわよ!!」


 竜音は雪の積もった山に登りにいくが・・・その前に・・・


 「まずは腹ごしらえ!!腹が減っては戦が出来ぬってね!!」


 山の麓の蕎麦屋で暖かいつゆのわんこそばを15杯も食べた竜音はそのまま登山を開始したのである。ちなみに竜音の二つ隣の机の席で岩野が食事をしていたがお互いに気づかないままであった。



 {とある雪山}


 雪山の登山道を歩く竜音だったが雪でなかなか歩きづらい。この日はスキーウェアにスキー用の長靴を履き、杖がわりにスキーのステッキを持って山を登る。


 「(懐かしいからと登ってみたけど結構キツいわね・・・さて飛んでみるかな?)」


 こういうときこそ羽根を駆使しようとするわけだった・・・が・・・


 「(あれ・・・羽根が生えない・・・)」


 なんと羽根が生えないのだ。理由が分からない訳だが竜音はそこで諦めれば良いのだが・・・


 「ひさしぶりに頂上へ行きたい!!」


 ただそれだけの理由で登山を続行することにしたのであった。だが山登りは勿論簡単なはずはなく、しかも久々の登山というから感覚を忘れているのも事実である。


 「(登りづらい・・・昔はよく登っていたけど大阪に行ってから雪山どころか山にすら登っていないから登山の感覚すら忘れているわ・・・)」


 別に吹雪が発生している訳ではないが、案外苦戦するものだった。



 {麓の蕎麦屋}


 その頃、山の麓の蕎麦屋で岩野は何かを感じ取っていたようである。


 「(今さっき実験体のあの子の気配を感じたようだが・・・気のせいか?)」 


 実際は気のせいではないが岩野はそこから何も考えずに親子丼の3杯目を注文していたのだ。


 「うまいぞ!!たまごの味が甘くてとろけるっ!!」



 {山道}


 その頃、疲れを見せていた竜音は大きな木の下に到着したのでこの木の下で座って休憩していた。すると・・・


 “ドボボボボッ!!”


 木の上に積もっていた雪が竜音めがけて落ちてきたのであった。大量に積もった雪の中から顔を出した竜音は凍えた表情であった。


 「ざむーい、びえちゃうよ~!!」(寒ーい、冷えちゃうよ~!!)


 なんとか雪から脱出するも身体を冷やしてしまった竜音だが元気は有り余っていたのでそのまま山頂を目指す。



 {山頂}


 そして山頂に到着すると景色を見渡せば周りも雪山だらけの絶景であった。微かに見える街や村の景色も良い。


 「登頂成功ーーーーっ!!!にょほほほほーーーーーーっ!!!」


 さていよいよ下山な訳だが、突然背中に羽根が生えてきたのでステッキをまたいで魔女のように飛ぶ竜音であった。


 「やっほーーーいっ!!みんなーーーーっ!!!」



 {麓の村}


 ちょうどこの時、蕎麦屋を出た岩野は空を向くとあるものを目撃したのである。


 「ま・・・魔女・・・!?」


 勿論これはであったが・・・翌日にはこの目撃情報がたくさん出てきて報道されたとか・・・



 「山に登るときは安全な対策をした上で体調や状況と相談して登山してくださいね!!」


 以上、竜音からの登山の心得でした。

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