第3話 竜音、コーイチの誕生日を盛り上げる
ある日、コーイチは教室で笑顔で同級生の男女と会話していたのである。
「そういやもうすぐ俺の誕生日だよ。」
「おめでとうだね。コーイチくん!!」
「なんか良いことがあるといいな!!コーイチ!!」
すると教室の前を通りかかった竜音はコーイチの教室の扉が開いているのに気付き、会話を聞いていたのであった。
「ふむふむ・・・なるほどね。」
コーイチになぜ竜音が関心を持っているのか・・・そう感じさせるほど竜音はコーイチへの思い入れがあるようだ。
{数日後のコーイチ宅}
“ピンポーーーーーン!!”
「ん?誰だろう?」
自室でぼんやりしていたコーイチはとりあえず玄関を開けると宅配業者の男性が大きな箱を持っていたのだ。
「すみません!!お届け物です!!」
「届け人は誰だろう・・・届け先は俺みたいだが・・・あ、ありがとうございます!!」
コーイチはこの巨大な箱を持って自室へ行くと箱を開けたのである。箱の中には大きなサンタクロースの袋みたいな袋が入っていた。そして袋を開けるとクリスマスプレゼントのような箱が入っていたのである。箱を包むリボンとラッピングを解いて開けるとまた袋が入っていた・・・が袋の中身が動いている。
「開けてみようか・・・嫌な予感がする。」
コーイチは恐る恐る袋を開けると中からサンタクロースの格好をした竜音が暑苦しそうな表情をしながら現れたのである。勿論コーイチは目玉が飛び出るほど驚いた。
「ど・・・どういうこと・・・!?な・・・何やってるんだよっ!!!!」
「今日はコーイチくんの誕生日と聞いてやって来たんだよ!!」
「(・・・・・・!?)」
もはや呆然としていたコーイチだが竜音はハイテンションに戻って事情を説明する。
「私、コーイチくんが少し前から気になっていたんだっっ!!!だから・・・だから・・・誕生日を祝いたいんだっ!!!」
「(もはやワケわからへんわ!!しかもクリスマスちゃうやろ今・・・)」
しかしせっかく来たのだからとりあえずコンビニに食事を買いにいこうとするコーイチだったが竜音はコーイチが家を出るのを止めたのである。
「私が買いにいくわ!!」
「いや・・・虎ヶ島さんは客なのに・・・そういうわけには・・・」
「大丈夫!!支払いは全部
「そうか・・・それなら良いけど・・・虎ヶ島さん、変なもの買ってきちゃダメだよ・・・」
「大丈夫よ!!任せて!!」
{ある作家の家}
その頃スマートフォンを眺めながらある作家は激怒していた。
「ちょっと待てや!!何で俺持ちや!!てかコーイチ!!お前も遠慮しろや!!」
{とあるスーパー}
スーパーに羽根で飛んでやって来た竜音は買い物カゴの中に食べ物やクラッカーやろうそくなど大量に入れまくっていたのである。
「これもっ!!これもっ!!これもっ!!うむ!!我ながらにしては良い買い物をしたぞぉ~っ!!」
{コーイチの部屋}
コーイチは部屋の窓からドンドンと音がするので窓を見ると竜音が帰ってきたのであった。
「普通に帰ってこいよ!!」
「良いじゃん別に!!買ってきたから盛り上がろーよー!!!」
「(・・・何だこいつは・・・つーかなぜ俺と関わろうとするのだ・・・)」
竜音と関わりを持ってしまったことにへこむコーイチをよそに竜音は袋からオムライス、カルボナーラパスタ、ポテトサラダ、七面鳥の丸焼き、そして巨大チョコレートケーキを取り出したのである。そしてケーキに10本のろうそくを差して火を灯したのであった。
「(10本・・・俺の年齢より少ないぞ・・・・・・)」
ろうそくの数に突っ込みたくなるコーイチだがその気持ちを抑えていると竜音はコーイチに言う。
「火を消してみて!!」
「あ・・・ああ・・・」
そしてコーイチはケーキの火を消したのである。
「フゥーッ!!」
「お誕生日おめでとう!!!パチパチパチパチ!!!」
火は全部消えて竜音はコーイチに拍手を送るのであった。
「何本もろうそくがあったら一回では消せないでしょ!?だから10本にしたの!!」
「・・・あ、ありがとう・・・」
するとコーイチはうつむいて涙を浮かべていた。
「(こんな風に今まで・・・祝ってもらったこと・・・ない・・・)」
コーイチの様子を見た竜音は彼の身体を抱きしめたのである。
「泣かないでコーイチくん!!私がいる限りコーイチくんに寂しい思いはさせないからね!!!」
「虎ヶ島・・・さん・・・ありがとう・・・・・・」
「男の子は泣いちゃダメよ!!!・・・いや、今日は泣いていいかも!!だってコーイチくんは今日オギャアと泣いて生まれた日だからね!!」
「虎ヶ島・・・さん・・・!!
竜音の優しさに触れたコーイチはこれまで寂しい思いをしてきた分だけこの日の誕生日で涙を流した。竜音は笑顔でコーイチの顔を見ながら何度も頷いたのであった。
そして誕生日会も終わり、家の外でコーイチは竜音を見送る。
「虎ヶ島さん、今日はありがとう!!」
「コーイチくんっ!!良い一年を過ごしてねーーーっ!!!」
「うん!!」
竜音を見送ると突然コーイチのスマートフォンが鳴り出したのである。穏やかな表情から険しい表情に変わったコーイチは電話に出たのであった。
「もしもし・・・今日は特に何もありませんでしたが・・・・・・はい、何かあればまた連絡します!!」
コーイチは電話を切ると舌打ちをしたのであった。
「こんな日にこんな電話をしてくるなよ!!」
{ある作家の家}
その頃、ある作家宅に請求書が届いていたのであった。
「くそーっ!!あの二人覚えとけよーーっ!!」
作家は悔し涙を流しながら激怒していた。
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