結構毒舌 紫式部。。

「へーこれでしばらく待つの?」

「はい」と紫式部の問いに修一は答える。

本来なら二人で鴨川のレストランで食事をしようと思ったのだが急きょの紫式部登場で家でカップラーメンを食べることにした。


三分間のつらい沈黙。。。


「ところでさ?二人夫婦?」式部(もうめんどくさくなった)は二人に聞く。

「いえ、違います」修一は答えた。

「あっそ。いい匂いね」と式部は自分でふっておいて興味がない。

「あ、そろそろ食べられます」

「あっそ」と式部は箸でカップラーメンを食べた。これがもし事実であるとしたならば水戸黄門より先にラーメンを食べた人物になるのだがこれは小説そうはいかない、

一口すすると

「え、ナニコレ。すごくおいしい」とずるずると食べだす。

平安時代のパーティーピーポーのお口に合ったらしい。


結局二人の分も全部食べると式部は横になった。

「あーねむい」と言っている。



「おい、どうするんだよ?」修一は薫に聞いた

「どうするって?。。。。どうするの?」

「うーん、どうしよう。。。。とりあえず東京帰ろうぜ。なんかわかんなけど」


「とうきょう?なにそれ?」寝ていた式部が起き出した。

「日本の首都です」修一は答える。なぜか式部に対して敬語である。

「しゅと?」

「日本の都です」

「ああ、都ね」


「と、ところで紫式部さまはどうして今こうして目の前にいらっしゃるのですか?」


修一がそれを聞いた途端式部は切れだした。


「それよそれ。あたしのライバルの和泉式部のやつ。あの男好きのせいで。。。」

「い、和泉式部先生ですか?」

「あんなやつ和泉でいいわよ」

「で和泉さんがどうしたと?」薫が聞いた。

「あいつの元カレの陰陽師がね、和泉に頼まれて香の中に閉じ込めたのよ、この私を」

「へ~~」二人呆然

「それで千年も香の中にいたって事、あんたが燃やしてくれたおかげででてこれたわ」

「はあ?」

「ところで二人の名前は?」

「僕は修一で彼女は薫です」

「へぇ。薫っていうんだ」と式部はじろじろ薫を見ている。

「私の書いた小説しってる?」

「はい、もちろんです」修一は声を張る

「その登場人物に薫っているんだけど、、、どうも違うのよね。。あなたと」

「いや、わたしね、ほんとは宇治十帖、あれボーイズラブにしようと最初思ったの。ここだけの話。。」ほんとここだけの話だ。(ボーイズラブという言葉は平安にはないが以降は完全に無視して読んでいただきたい。)

「でもさ。何腐女子みたいなのが寄ってきて「光様の子孫の姿が見た~い」なんて言い始めたからしょうがなく書いたのよ、あれ」

すげーテキトー

「最初は力入れて書いたわよ、でもさ書いてみるとあんだけ恋して子供つくると家系図作らなきゃいけないだろ。「渡鬼か」っておもってさ、まああとは流れね、流れ」

勿論渡鬼は平安にない。

「へーそうなんですか」と修平は正座で聞いている。

「まあ、書いた時は結構人気あったんだけど読み返してみると光源氏って「女の敵」ね。ちょー肉食イケメン。マジ引くわ」

自分の作品にも毒を吐く。

「で、なんで私の顔を。。。」と薫が聞く

「なんかさ、レズでもよくね、っておもったのよね」

「へぇ~」とは修一

「男装女子?っての?コスプレ感覚でいいんじゃない」さらなる爆弾発言。


とりあえずその晩は紫式部の愚痴で夜が明けた。何しろ千年分の愚痴長い長い。


夜が明けた、とりあえず東京に帰るため式部の服を買いに行き式部を連れて新幹線に乗り込む。

「この乗り物新幹線っていうんですよ」修一

「ふーん、あっそ」興味ない式部。


新幹線で東京駅に着きそこから山手線で修一の自宅に向かう。

山手線の優先席に学生が座っていてその前をおばあさんが杖をついて立っている。

式部は優先席のシールをまじまじと眺めそのあと学生たちを見る。

「へ~千年後の年寄りって若く見えるのね。どう見ても15ぐらいのガキじゃないの。大人の魅力ってのが全然ないのね。業平様は40過ぎてからが素敵だったのにね~。」式部の一発が学生の若く弱い心をくじいた。

次の駅になると学生たちは何も言わず電車から降りていった。

おばあさんが式部に頭を下げ席に座る。



「下僕」

「はい」修一が答える。

「私何か悪いこと言ったかしら?」

「いえ」

「あっそ」

何事もなく、いやあったのだが電車は進む。


先に薫の家の近くに電車が止まる。

「下僕。いい。秘密は通すのよ」とは薫の発言。完全に修一は下僕に落ちた。orz

「はい」


修一の家の近くの駅に着いた。

「こちらです」といって修一改め下僕は案内する。


「ただいま」といって玄関を開けると母のさとみが「おそかったわね」と迎えにでる。

「そちらのかたは?」と修一に式部の事を聞くと「薫さんのおばさんで紫さん」

「へぇ。」

「あ、おかあさまですか?家の薫がお世話になっております。このたび京の都の家が火事になってしまいまして、本来なら薫の家に泊まるつもりでおりましたが、あいにく家が改装しておりましてご迷惑かと思いますがご厄介になれれば幸いかと。。。」

「あ、これおみやげです、誠につまらないものですが。。。」といって京都のナンバーワンお土産をわたす。これは修一が自腹で買った一万円の高級品だ。

「あ、そういうことならどうぞうちをお使いください」と母はあっさり陥落した。


「どうぞおあがりください」といってスリッパを出す。

「失礼します」といって式部は上がっていく。まさしく「猫をかぶる」とはこのことだ。


こうして紫式部が東京にやってきた。これから薫と修一そして現在の日本人がどんなひどい目に合うのかこうご期待。




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毒舌「紫式部」が行く 若狭屋 真夏(九代目) @wakasaya

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