第3話
「…となるとこの文章は〜〜」
欠伸が出る。古典の時間は苦手なんだ。というより文系が。長ったらしい文章などを読むのは頭痛がするし楽しくない。早くチャイムが鳴ることを願いながら、古典の先生の達筆な字で書かれた大事な要点を板書する。
「期末、赤点やばい。」授業が終わりチャイムが鳴って茶色のポニーテールちゃんがわたしのところへやってきた。
「ほんと?私も古典と現文やばかったよ。」
「そんなんじゃないんだって〜!あ〜だめだ!私も得意教科ほしい〜!」
上を向いた彼女の首筋は鎖骨がはっきりとしていて、妙な色気があった。すこし見とれてしまったけれど慌てて返事を返す。
「私、別に数学得意じゃないよ…」
「数学赤点の人からすると75点は羨ましいよ!」
他愛もない話。だね。
「でも!やっぱ文を読むのは楽だね〜!私は断然文系!主人公の気持ちとか!得意だ〜!」
その話、昔もした。違う人と。言わないけど。
「私はそれが苦手。」
「ははっ苦手そうだ。」
彼女が茶色の髪を揺らして笑う。白い歯を見せて。子どもみたいに無邪気な笑顔で。その笑顔が苦手なわたしは窓の外を見た。
窓の外の空は青かった。
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