これからのこと
6月末、期末試験が終わった。成績結果は来週発表される予定なのでまだわからないが、この期末試験が終われば夏休みがすぐやってくる。試験がすべて終わり、ホームルームが始まる前の休み時間、僕は真綾に呼び出された。
「ねぇ、大和。学校終わったら、カラオケ行かない?」
結局僕は、真綾の誘いに乗ることにした。
学校が終わると、僕は真綾とともに駅前に向かい、近くのファーストフード店で昼食を取ることにした。そして食事を済ませると、近くのカラオケボックスに移動。真綾の友達と合流した。
「真綾、やっぱり彼氏と昼食べたんだ~」
「だから彼氏じゃないって!」
真綾にそう言い出すのは、
「桜井くんも彼女とラブラブだね~」
「だから真綾は彼女じゃないから!」
そして僕にそう言い出すのは、
結局、僕は真綾と川崎さん、戸田さんの4人でカラオケを歌うことになった。
4人ともカラオケのレパートリーは豊富だった。最近流行りの歌から、少し前の歌、それどころかかなり昔の歌まで歌っていた。そしてアイドルソングやアニソン、ボカロまでみんな歌い出す始末。しかし、戸田さんが父さん原作のアニソンを歌い始めた時には僕も一瞬ビクッとした。あれ、もう25年くらい前のアニメだよ。ちなみに戸田さんは、「そういえば桜井くんのお父さん、漫画家だったよね。桜井先生の作品は色々あるけど、私はこの作品が一番好きかな~」と言っていたけど。
夕方、カラオケが終わるとそれぞれ帰路についた。僕と真綾は東京23区内に、川崎さんは八王子に、戸田さんは所沢に住んでいるので、帰り道はバラバラだ。
帰りの電車内、真綾はふと小言を漏らした。
「理香もカラオケ誘えばよかったかも・・・」
「テスト終わった途端部活で、しかも大会近いから仕方ないよ」
「やっぱそうなるよね・・・」
「大学でもソフト続けるみたいだしな」
「やっぱ、オリンピック目指すのかな?」
「さあ?ただ、オリンピックになると、最初で最後になるからね・・・」
僕と真綾がああだこうだ話している間に、最寄り駅についた。そして駅の改札を出て、それぞれの家に戻るため別れようとした途端、僕は真綾にあることを告げられた。
「私、莉奈ちゃんみたいな声優になろうと思ってるの。というかなるの」
真綾から出たのは意外で、しかも衝撃的な言葉だった。そして真綾はさらに声優となるきっかけを続ける。
「1ヶ月くらい前かな。私、声優事務所のオーディションを受けたの。4月にできたばかりの新しい事務所だけど。そしたらすぐ返事が来て、7月から事務所に所属することが決まったの。と言っても、最初はズブの素人だから、見習いになるけどね。大学には行くつもり。大学通いながら声優やってる人は結構いるみたいだし。莉奈ちゃんには言ったけど、大和にはまだ言ってなかった。それだけはゴメン!」
真綾から発せられた意外で、衝撃的な言葉に僕は、「そっか。声優、頑張れよ。莉奈がいい手本になると思うから」と言って、それぞれの家に向かった。そして帰宅し、夕食を食べている最中、莉奈ちゃんの口からも真綾が声優になることが告げられた。
「そういえばお兄ちゃんにはまだ言ってなかったかな。真綾お姉ちゃん、来月から声優事務所に所属が決まったんだって」
「それ今日、本人から聞いたよ」
「え、そうなの?」
「うん」
「そうなんだ。私、真綾お姉ちゃんに声優のことについて、色々叩き込もうかな~」
この日の義妹の機嫌は、とてもよかった気がする。
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