負傷動物の保護
1匹の傷付いた野良猫を1人の女性が連れてきた。
「今のこの状態では、入院しての治療が必要になります。おそらくは〇日くらいの入院で、費用は〇円くらいになるでしょう。市から数千円の助成金がおりますから、こちらの書類にご記入ください。それと、入院中にこの子の行く先を考えてください。」
ここまで話をすると、女性は烈火のごとく怒り出した。
「私の猫じゃないんですよ!?なんで私が治療費を負担しないといけないんですか!?だいたいうちじゃ飼えません!そちらで新しい飼い主を見つけてください!」
実は、これは動物病院が最も頭を抱えるケースである。
負傷動物を保護して、動物病院に連れてきても、治療費を払わない。
そして、自分で飼う事も、新しい飼い主を見つける事もしない。
すべてを動物病院に丸投げしてしまう。
結局、その女性は一銭も払わず、その猫を病院に置いて、立ち去ってしまった。
だが、実際に動物病院が、飼い主のいない動物の治療費をすべて負担していたら、経営破綻してしまう。
また、新しい飼い主を見つけると言っても、既に年を取っている動物や障害のある動物を飼ってくれる人を見つけるのは、至難の業だ。
その猫は、やむを得ずスタッフの1人が引き取る事となり、治療費は全額病院負担となった。
しかし、保護されたすべての動物に、これは出来ない。
安楽死を選択するより他にないケースもある。
これは動物病院が受け入れるべき負担なのだろうか?
命を救おうと思って手を出した人間には、それ相応の責任を負う覚悟が必要ではないだろうか?
答えは見つからない。
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