短い命を抱きしめて

「これから先、一緒に居られる時間は短いと思ってください。」


私は飼い主の女性に告げた。

女性は泣き崩れた。


生後2ヶ月で家族に迎え、それからまだ3ヶ月。

幼さの残る愛らしい子猫が、ちょうど懐き始めてきた頃。

あまりに残酷な宣告。


猫伝染性腹膜炎。


治療法も予防法も確立されてない不治の病。


だけど、その短い命は間違いなく愛を得られた。

もう助からないとわかっている子猫を抱きしめて泣く女性。


おそらくは残り数日であろう残された時間。

どうか穏やかに過ごしてほしい。


家族として過ごした数ヶ月が、決して無駄ではなかったと思えるように。

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