番外編:壱-弐

目を覚ますとパソコンに仕事の依頼が来ていた、今日の正午バーガーチェーン店に来い、目印は黒いバラ。

パソコンを閉じると仕事着というか、普段着に着替えた、いつも通り白のパーカーに黒のシャツ、そして黒のジーパン。

見た目も動きやすさも考慮しない格好なので別に問題はないのだが、だて眼鏡でも掛けていくか。

「黒いバラか、嫌な予感はするがどうせ暇なんだ仕事にケチはつけないことにしよう」



「俺に同業者を手伝えと?」

「そうだ、あるグループに一人君と同い年くらいの女の子が入ってね、その子が危なっかしい子だからその子のサポートにね」

「山田さん、それは俺にハウンドとして頼むのか?それとも、【死神】としてなのか」

「両方だ、殺しの腕は世界一だろう?」

「仕事の内容は?」

「君も新人としてそのグループに入れる、経歴については自分でいいたまえ」

依頼主の男は太めの体型の肥満体スーツに眼鏡、いかにもって感じだやばい気もする。



住所を教えられ現地に向かうと、なにこれ倉庫ですか?、足立区にこんな一軒家あるんすね。

中に入るなりかぐわしい食べ物の匂いがした、食欲がそそられる良い香りだ。階段を登り二階のリビングルームに入るとそこには、どんぶりをほおばるセミロングの女の子、多分この子がさっきのデブが言ってた目標ターゲットだろう。

もう一人は見た目若いが白髪のおっさんと特徴のない眼鏡の男、そしてもう一人は金髪の癖の強そうな大人の女性だった。

「山田さんの紹介で来た和田です」

「あぁ、お前がもう一人の新人か随分と異例だから経歴を山田さんに聞いたら、本人から聞けって言われてな」

あの人どんだけハードル上げてんだ、俺に恨みでもあんのかあのデブは。

「経歴ですか、中学頃から殺し屋初めて、一年と少しでダウンして新しい仕事初めて二年間東京離れて、一年半知り合いの所で世話になって、それから半年アメリカの方で仕事してました。それから日本戻ってきて山田さんに仕事受けた次第です、日本での仕事の時の名前は【ハウンド】アメリカでもそれで活動してたんだけど、気がついたら【死神】なんて異名がついてました」

「ハウンドってあのハウンドですか!?つい最近アメリカの方で仕事して、私情の為に軍隊一個消したっていう!?」

「橋本、お前も少しは、春を見習って大人しく飯でも食べてろよ」

急に慌てて喋りだした眼鏡に俺の経歴に興味を持った白髪の男が文句を言っていた。

「私情ってことになってるのか、私情だけど」

「俺は大倉だ、そっちの眼鏡が橋本、そっちの金髪が金原、そこで食い意地貼ってるのが石田春、お前の目標だろ?」

「知ってるなら話が早いです、俺はそっちの仕事に手を出すつもりはないので、あくまでも俺の仕事はその少女の防衛ですから」

「少女って年じゃないだろ春は」

「いやいや、そんなことないっすよ俺より年の若い女の子なんてほとんど認識は少女ですよん」

「え、大輝さんて春ちゃんと同じ年なんじゃないんですか?」

「あやっ、経歴的にはそうですが実年齢は多分ここにいる全員より年上です、多分全員足しても上じゃないかと」

「それって一体いくつなんですか」

(軽くこれからのネタばらしすると師匠さんの住んでる場所が孤島で、その辺一体は特殊な結界が張られていて中はあれです、精神と時の部屋状態です、しかし特定のアイテムを持っていないと年をしっかり一日ごとにとるという曰く付きですが。

結局島を出るまで特定のアイテムとやらは取れず一年半分しっかり年をとりました)

「んじゃま、そういうことでちなみに仕事って今はあるんですか?」

「あぁ、ちょうどヤバイのがな」

「それってどれくらいのやばさですか?」

と、いきなり春が喋りだした顔の周りに米粒を付けながら。

「相手は銃が効かない相手だ」

「それって銃器専門のあんたら傭兵じゃ、相手所か目にもとまらないんじゃ」

「今まで三つのグループがそいつに挑んで傷一つ付けられずに負けたらしい」

「それは、ご愁傷様で」

「偵察に今日の夜一度仕掛ける、倒せればそれはそれで儲けだ」

「んま、邪魔しない所にいますわ、最悪護衛対象が危なかったら手出すんで、殺しちゃったらそっちの手柄でいいっすよ」

ボーナス付けてくれれば文句なしなんすけどね。

「勝てる保証でもあるのか?」

「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるでしょ?それに油断も隙も無い生き物なんていませんよ」

「もし、春になにかありそうなときは遠慮無くそれをやってもらって構わない、誰が犠牲になろうとな」

「あ、それはいいんですけど、一応補足しとくと春ちゃんと金原さんは安全ですよ、流れ弾でも当たることは無いです、でも、ターゲットが女だった時は流石に無理なんで自分で解決してください」

それはただ一つの俺の弱点。

「なんだ、何か問題でもあるのか」

この世界では滅多いないことだが、ごく稀にあり仕事を受けられない状況に陥る原因。

「俺、女殺せないんです」



夜十一時半、作戦は決行された半刻も前に着替えに一旦帰り戻ってきた俺は、Yシャツに黒のスーツパンツという、どう考えても動きやすい格好ではなかった。

大倉に「お前、動きやすい格好って言ったよな」、と引き気味に言われたのだが、それに対する神対応は「すいません、アメリカいたときの仕事着がこれで」と苦笑いで返した。

俺が帰る前に作戦説明は終わっていたらしく、俺は作戦開始位置に移動した春と共に、目標の住んでいるマンションの反対側にある建物の屋上にいた。

「あ、あの」

春が小声で話しかけてきた、実戦は初らしいので緊張しているのだろうか。

「どうかした?春ちゃん」

「大輝さんは一体、いつから銃を握っていたんですか?」

素朴な質問だった、でも、これから初陣の女の子が半生以上死の世界に住んでいる俺に聞くような事じゃない気もした。

「気づいたら手が血まみれで、気がついたら自分の両親を殺してた、そらから現実世界が嫌になって逃げ出して行き着いた場所が、こっちの世界だったってだけさ、あの頃は目的があったわけでも守りたい物があったわけじゃなかった、でもそのせいで大切な人を失った。だから、生きる意味を探すためにいまもこうして生きてるんだ、人を殺すための道具しか使えない俺にはそれしか生きる意味が無いから」

「ごめんなさい、変なこと聞いてしまって」

「今は目の前の仕事に真剣になったほうが良さそうだね、俺は、援護しかしないからそのつもりで」

「はい!」

俺達、というか春の役割はこれから起きる戦闘の撮影をすること、映画のスタジオにでも売るのかな?。

(注:この時は筆者が超エキサイティングして、発想がすこしぶっ飛んでます)

特に合図もなく、夜の街に突如銃声が鳴り響いた。

ショットガンにAk、軽機関銃、その三つはおそらくこちら側の武器だろう、銃声にムラが無い。

それに、呼応するようにサブマシンガンの銃声が二つ鳴っていた。

「大輝さん、大倉さんが被弾したって」

「助けに行きたいなら、行っていいぞ。自分が死なないと思っていけば問題ない気楽にいける」

「わかりました、行ってきます」

「いってらっしゃい、死なないようにがんばって」

そう言い放ち、俺はその場から姿を消したその場所からいなくなったのではなく、その場から隠れる為に。

光魔法による視界を誤魔化す魔法、だれでも中学の時にやったことがあるだろう光を屈折させてどうのこうのってやつだ。(学校には通ってないので筆者は知りません)

銃声が一つ増えたハンドガンの音だ、きっと春だろう。

「刀は抜きたくないが、もしものときはやるっきゃないな」

ビルとビルの隙間に四人が追い詰められていた。

「あれは、ピエロ?、なるほどマジックなら銃が効かないわけだ」

他人事だが、仕事と、言い聞かせてビルから飛び降りた。

トンッという足音と共に四人とピエロの間に入った、四人には見えていないしかし、ピエロの視線を感じたこいつには間違いなく、不可視状態になっているはずの俺のことが。

「ふふふっ、君達は面白い仲間を連れているようだね」

「なにを言っている」

見えているピエロと、見えない大倉の会話、というか、俺ここにいたら流れ弾がとんでくるんじゃないのか。

そう思い、不可視状態を解いた、鉛玉が飛んでくる前に。

「それは俺のことかな、ピエロさん」

「きみ、面白いね」

「お前に警告する」

そう言って右手にコルトパイソンを取り出した、弾は,38ではなく,357の弾薬。

(注:普段は38スペシャル弾を使ってます)

「この銃を六発撃つまでに俺と戦うか、大人しく逃げるか決めろ、逃げるなら命の保証はしてやる」

銃を空へ向けた、このまま逃げるならよし、逃げなかったとしても、、、勝ち目は少なからずある。

「君は僕の首が欲しくないのかい?」

「俺が欲しいのはモテ方の伝授だから」

バンッと一発空へ放つ、十中八九の確率で、六発撃ったら攻撃してくるだろう、それも承知の警告だ、今はまだ人は殺したくない。

「君はつくづく面白い人だね」

「余裕こいてるとこ悪いけど、速く逃げないと死ぬよ?」

「それは君が・・・かい?」

「さぁ、どっちが死ぬかは知らないけど、どっちが死んでも恨みっこ無しにしよう」

会話中にも三発放った、残りは二発、これを撃てば残り一発。

「なら、恨みっこ無しの殺し合いといこうじゃないか!」

「望むところだ!」

残りの一発を撃ち終えた後でピエロが突っ込んでくる、少なからず捨て身で来てるわけではない。

「死ねぇ!」

ピエロは手を手刀の用な形にして斬り掛かってきた、銃も効かなくて、近接戦ではただ不利な相手、なるほど、こいつはとことん厄介だ。

手刀を交わし腕を掴む、そして半分流し作業で、ピエロを投げ飛ばす。

【月影流武道術:入り投げ】

相手の腕を右腕で掴み、左手を相手のあばら骨に付け、同時に押し肩を外し、あばら骨を少なからず一本は折りそして投げるという、月影流武道術の中でも、数少ない投げ技の一つ。

ピエロはひょいっと軽く着地するが、普通の人間なら何処かしら体をぶつけ、最悪立っているのが限界、という所まで痛くなるレベルの攻撃なのだが。

「全く効いてないのか~、ちょっと辛いな」

銃をリロードし右腕で構える、同時に四人を立ち上がらせアイコンタクトと、身振り手振りで裏の路地から一旦離れるように指示する。

最悪の場合四人を、巻き込み兼ねない、大倉は「もし、春になにかありそうなときは遠慮無くそれをやってもらって構わない、誰が犠牲になろうとな」、と言っていたが…巻き込める訳がない。

四人がある程度離れたのを確認し、左手を前に出す切り札の魔法を使うために。

【創成魔法:ガンズ・オブ・バレット】

そう唱え、俺を中心にピエロに向かい無数の銃が展開される。

「ははっ、面白いねきみぃ!」

「ぶっ飛べピエロ!」

コルトパイソンの引き金を引く、それと同時に展開された無数の銃が火を放ち、ピエロを建物ごと蜂の巣にしていく。

当たったは・・・ある、だが、仕留めた感じは無い状態、つまりまだ生きている。

「その程度じゃ、僕を仕留めるのは無理だよ」

無傷だった、傷一つ付いていなかった。

「教えてくれよ、人体改造でもしてるのか。弾が通じないじゃなく、弾が当たらないなんて人のなせる技じゃないよね」

「見たことあるんじゃないのかい?この魔術回路を」

青白く光るただ見れば線にしか見えない物、魔術回路、体に術式を埋め込み、命の限り使用出来るという便利な物。

「障壁魔法、ドーピングみたいなもんだけど、残念ながら俺も使ってるから、人のことは言えないんだけど」

話していると両サイドから大倉達がやってきた、大倉の合図と共に四人の集中砲火がピエロを襲った。

結果は明白、不意打ちにも関わらず相も変わらず、傷一つ付いていないもはや普通人間が敵う相手ではない。

「どうやら、こいつは数撃っても死なないらしいな」

「大倉さん、四人だけで逃げてくださいここからは、戦争屋の仕事です」

「いいのか?お前が死んでも保険は下りないぞ」

「春ちゃんにはこの仕事は「いつでも死ねる」、からやっているって言いましたけど、俺まだ、死ねないんで、ある女の子と約束があるんですよ」

「わかった、なら、死ぬなよ」

大倉は春と共に、橋本と金原が共に逃げた、少なからず勝てる可能性はある、普通の人間が銃を使ったところで勝てなくても、魔法が使える同士なら。

「君は仲間思いなんだね」

「普段は一匹狼だけど、今だけは気が変わった何としてもお前を殺す、報酬はそれなりにもらうさ、俺は死神の鎌を掛けても、掛けられることはない」

「じゃあ、殺し合いを続けようか」

「悪いなお前とも殺し合うつもりはない、四人がいたから使わなかっただけで、魔法を使えばお前なんか敵じゃ無いんだ」

カチカチカチ、という音と共にピエロの体が足から凍りついていく、所詮はこの程度の相手、本当なら剣を抜く必要も無い。

だがこいつは、自分からこうなった訳じゃ無い、体の回路も人体改造で付けられた物に変わりはないが、自分から付けた物じゃ無い、何者かの手によって、改造されたのだろう。

「せめてもの餞別だ、苦しまずに死ね」

右手に刀を出す、師匠から譲り受けた刀を。

【月影流剣術:一刀両断】

一瞬で居合い切りをし、痛みを感じる間もなく体が真っ二つになる、今の俺に戦う、ということに迷いは無い。

「いつか、機会があったらお前の仇は取ってやるよ」

ピエロの上半身が地面に落ちるまでの間に、一瞬見えたピエロの表情は、かすかに笑っていた。

刀を鞘にしまうと、同時に周りの建物が崩れ始めた、どうやらやり過ぎたらしい。

一刀両断の残刀が建物にかすめたのと、先ほどの銃を乱射していたので崩れたのだろうか、どちらにせよさっさと退散しないと騒ぎに巻き込まれかねない。

「こりゃ、やり過ぎちゃったかな?」



ーあとがきー

今回も見ていただきありがとうございます、番外編:壱はあと二三話くらいで完結する、と思います、本編に書きたいことがあり押さえているんだけど我慢できないってことで、少しだけ番外編という形で小説にしようと考えた訳ですが、ダメでした!溜めすぎたせいで爆発してます、ハイテンションです、今なら頑張れる気がします。

あ、全く関係ないうえに私情ですが来週から自主的に(強制的に)学校に行くことに(行かされることに)なったので投稿がさらに遅れる可能性があります、多分行ったところで小説の事しかあたまにないと思いますが。

それでは数少ない読者のみなさま!この調子でいけば百話で3000pv行くのでいくことを願ってがんばりましょう!

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