番外編:壱

(注:こっちはいままで通り主人公は大輝です、え?主人公変わるって言ったろって?。

ふふふ、とんだロマンチストだなっ、嘘に決まってるだろい。

あ、年的には二年後のお話です)

二時間ほど前、警視庁のお偉い様から「たまには仕事をしないとクビにするぞ」と、脅されたので「なら、警察潰しますけど」と、脅し返してやった。

しょーがないと思い今日一日だけでも行くことにした、気まぐれだ。

定食屋で食べた680円の豚カツ定食も経費で落とそう、いやーにしてもあの豚カツ美味かったな味はともかくタダ飯と思うと。

(注:人間のクズ)

東京のある警察署に着くと入り口の目の前に高校生くらいの短いポニテの、膝上スカートの制服姿の女の子がいた。

しかも、入り口の目の前とかいう不自然極まりない場所に。

「かーのじょー、俺と盗んだバイクで走り出して行く先もわからぬまま暗い夜のとばりの中へ向かわないか?(キリッ」

警察署の目の前でこういう事言える俺格好いい。

(注:人間のクズです)

「あの、警察の方、じゃないですよね」

「いや、一応警官だけど」

「ならよかった!ちょうど用事があって」

いや、一人でいけよ、とツッコミたかったのも束の間中から慌てた様子で署長が出てきた。

「和田さん来て下さったんですね、ありがとうございます事前に連絡を下されば迎えに行ったのですが」

時は遡ること二年前、警察本庁に乗り込みトップの面々に銃を突き付け、脅迫まがいに殺さない代わりにといっていくつか条件をだした。

【一つ国際指名手配犯としての日本国内での無期限の手配停止。

二つ異例中の異例として特務官としての地位を与えること(注:これは自衛隊でも同じ脅迫をしました)。

三つ警察の人間からの一切の攻撃をさせないこと。

四つ以下の三つの内一つでも破った場合は容赦も情けもなく皆殺しにすると】

「いえ、俺はただの警官ですから、署長がわざわざ気になさる事じゃないですよ」

もちろんこの言葉自体本心だが、警察側からしたら全体で命を手玉に取られている状態なのだから、こんな風にVIP扱いでもしょうがない・・・要は苦しゅうないってやつです。

(注:人間のクズです)

「署長さん、この人は?」

俺がくだらないことを考え、署長が小刻みに震えるという状況下で、一番最初に言葉を発したのはポニテの女の子だった。

「桜くん、来ていたんだね、こ、このかたは警視庁の特務官、和田大輝さんだくれぐれも粗相のないようにしてくれ」

相変わらず署長が小刻みに震えているなんだろう、マッサージ器でも使ってるんだろうか、いやもしかしたらカルシウムが足りてないだけかもしれないな。

「署長さん、そちらの可愛らしいお嬢さんは?」

「あぁ、彼女は笠霧桜さんです、うちの署のサポートしてくださっている民間の方です」

「笠霧ですか、珍しい名前ですね」

「そうですね、この辺りだと珍しいのじゃないかと」

署長と話していると急に署長の携帯が鳴った。

署長がすいません、といいながら携帯を開いたどうやら署の人間かららしい。

「桜ちゃんてお姉さんとかがいたりする?」

「いないと思いますけど、どうしてですか?」

「ほら、珍しい苗字だからさ、知り合いにいたんだ笠霧って苗字の人」

桜ちゃんと話していると電話を終えた署長がこちらを向いてきた、どうやら事件らしい。



殺されたのは元食品会社社長、田中和久さん(お察しの通り名前は適当です。え?言わなければわからなかったのに?)刃物で手首を切られたあと鈍器でポカされたらしいです。

行きたくはなかったが桜ちゃんと移動中二人っきり、という餌に釣られいつの間にか殺害現場の、田中さんのご自宅に釣り上げられた次第。

現場の鑑識(所ジャージさん30歳)の話によると、凶器の鈍器は見つかったものの、もう一つの凶器の刃物は見つかっていないらしい。

凶器の一つ暗いピザの配達と同じくらいのスピードでさがせないとは、最近の鑑識は役に立ちませんね。

被害者は一人暮らし、職を失ってからは預金で暮らしていたらしい知り合いの話では、恨みを買うような人ではないらしい。

ちなみに鈍器は丸い円盤のようなものらしい、殴った時に割れたらしく原型はとどめていなていなかった。

「こんな物で殴るなんて、すこしおかしくないですか?」

「さーね、俺は専門家じゃないし、他に凶器になりそうな物がなかったんじゃないの」

「それはないと思います、だって水瓶がすぐ近くにあるんですよ?、そっちの方が持ちやすいじゃないですか」

「堅ければなんでも良かったんじゃ・・・」

もっともな事を口から発していると部屋から少しだけ血の匂いがした、遺体はないし血の匂いがするのはおかしい。

匂いがする方に行くと植木鉢があった、一人暮らしなのに育ててる余裕あったんだろうか?。

しっかりと手袋をはめ植木鉢を調べると血のついたナイフが出てきた。

「鑑識~(´Д`)凶器出てきたぞ~」

「えっ、マジっすか(*´▽`*)血痕と指紋調べてみますねー(´▽`)ノ」

(↑携帯だから出来たこと)

めちゃくちゃフレンドリーな鑑識二号(北野邪イ暗22歳)にナイフを渡した、きっとこれで犯人が見つかるだろう。


※太陽沈んで五時間後


無事に犯人が捕まり、桜ちゃんに「これから飯行かない?おごるからさ~」、と言ったところ。

「ご飯だけならいいですよ」と言ってくれたので、近くのファミレスに行くことに。

「親に連絡とかしなくて大丈夫?」

「大丈夫ですよ、一人暮らしですから」

「その年で一人暮らし!?」

店内で大声で立ち上がって叫んでしまい、ハッと我に返ってすいませんすいません、といいながら頭をぺこりぺこりと下げた。

「というか、私親に捨てられたんです、小さい時から孤児院で育って、中学生の時に私を拾ってくださった方がいて、その人も死んじゃったらしいんですけど」

「まさか、笠霧ってその人の苗字?」

「そうです、笠霧すずねさんて言って優しい方でした」

「育ちは東京だったの?」

「いえ、高校生受験の時にたまたま推薦みたいな形で入れる高校があって、そこに通うのに東京に引っ越してきたんです」

そういえば、すずねさんの家からごく稀に同い年くらいの女の子が出てくるのを見たことはあったけども。

きっと、クラスはちがかったのだろう、あのときは他人に特に興味を持つようなこともなかったからだろうか。

「ちなみに、中学二年生の時のクラスの組は?」

「一組でしたけど」

呆れた、自分にはこれほどまでに記憶力がないのか、なんでだ、なんでこんな可愛い女の子を忘れていたんだ。

(注:人間のクズです)

「悪かったね、嫌な思い出だったでしょ?」

「いいんです、私、多分そういう事が多い人生なんだと思います」

「そんな人間いないと思うけどね、よかったら今度、うちの家に遊びに来ない?見せたい物があるんだ」

「いいですけど、見せたい物って?」

「それは見てからのお楽しみ、でも、これが偶然じゃなくて、必然か運命ならいい機会じゃないかと思ってね」


東京都内だけでも別荘は3件、あれ?5だっけ7だっけ。

(記憶力はなんだかんだいいはずなんですけどねぇ)

別荘の中には全く使ってない物もあるがその中には物置になってる別荘もあり、その別荘には引き取り手のいなかった神城さんとすずねさんの遺品もあったのだ。

「よくよく考えたら、どうして遺品がこの子じゃなくて俺に渡ったんだろう、神城さんのならわかるんだけどなぁ」

荷物を下ろし、業務用の冷蔵庫と未使用の最新式の電気コンロ、ある程度の家具も備え付けてある別荘の一つに俺は帰っていた。

上着を脱ぎ捨て正面にテレビの見えるソファに腰を降ろした。

「適当な言葉で誤魔化しちゃったけど、良いんだろうな俺が持ってても必要ない物だしな」

怒りに身を任せ大暴れした結果自分でも納得しないことになってしまったんのだが、おかげで好きな事を今は出来ている。

そんなことを考えているうちに意識を失っていた。

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