記憶の真実。


アメリカから帰ると完全にアリスとミスティが仲良くなっていた、頼れる人間がいないからなのだろう。

そんな二人に土産物を渡して哲は部屋に籠もった、哲は自分のピンテージピストルを手入れしながら今までの事について考えていた。

基地の中で自分が諦めていたとき聞こえた声、聞いたこともない声だったが懐かしい気がした、思い出してみれば中学のころからの記憶はあってもそれ以前の記憶は一切ない。

携帯を見ると通知が入っていた神城からだった、いまから近くにある喫茶店にこいというメッセージだった。

作戦終了時に来ていたスーツでそのまま帰っていたためそのスーツを脱ぎ捨て、いつも通りパーカーにジーンズという格好に着替えて喫茶店へと向かった。

そこには普段なら家を出ることのない神城の姿があった。

「なんでわざわざ家の外に呼び出したんだ、普段なら絶対に家を出ない癖に」

「まぁ、ちょっとな」

あいまいな返答をする神城を横目に椅子に腰を掛けようとした刹那―――。

喫茶店のキッチンの方から明らかにガスの引火での爆破ではない威力の爆発が起きた。

爆風で壁に叩きつけられ意識がもうろうとしていくなか、哲の目には一つの黒い人影が見えた。

見覚えのある姿だったオルギン基地にいた三人組の一人の義手の男だった。

そこから予想されるのはあの三人組が自分と同じく殺し屋として活動していて、何者かによって今度は自分達が狙われたという事だけだった。

「貴様の様な奴はこの世界には必要、ない」

そういいながら意識の薄れゆく哲の背中に三発、そして神城の背中には六発の銃弾を浴びせて去って行った。



―六時間後県内の警察病院―

夕日が窓に差し込む病室にあったは一人の男と意識のない哲の姿だけだった。

哲が意識を取り戻すと全身には激痛が走り、目を開けても霞んでしか見えないという状況だった。

哲は霞む目で病室にいた一人の男の方へと視線を向けた。

「木崎さ、ん?」

「哲、起きたか」

そこに見えたのは現職警官の木崎の姿だった。

「ここは県内の警察病院だお前は意識不明の重体で運び込まれて、爆発事件が起きてからは六時間経ってる」

「六時間・・・、そういえば神城さんは」

思い出したかのように唐突に体を起こすと、先ほどから走っていた激痛が増して襲ってきた、哲は体を抑えながらなんとか体を起こしていた。

「神城はな、死んだよお前の倍の弾数を撃たれてた、あの爆発だ意識を失ってただろうから、痛みは感じなかっただろう」

その言葉を聞いて哲は無理矢理にでも立とうとベッドから降りようとした。

「無理をするなお前だって三発も食らってるんだ」

「俺が仇を取る」

「やめておけ今、警察が総動員で事に当たってるが証拠も一切無し目撃者もいなければお前以外の生存者もいない、トドメにいうならお前がその体でなにが出来る? 、足手まといになるだけだぞ」

木崎のもっともな言葉を聞き哲は諦める、事はなく言い返した。

「奴の居場所がわかるのは俺だけだ、残念だけど木崎さんに止められても俺は行くそれで最悪、死ぬことになってもだ」

「わかった、俺は止めないでも、止めない代わりに言わせてもらう。仕留め損なうなよ本当ならおれが奴の仇を取ってやりたいんだ」

木崎と神城は元同僚という間柄だった二人はもともとバディを組んでいたらしいが、ある事件の後神城が足を怪我し退職したのをきっかけにバディは解散されたらしいがその後も二人は交流を持ち続けていた。

「それとお前に渡しておくものがある恭介から受け取っていた物だ、あいつの身になにかあったら渡してくれと言われていたんだ」

木崎から渡された木箱の中には銀色のM1911と1つの手紙が入っていた。

一緒に入っていた手紙にはこう書いてあった。

『この手紙を読むとき多分おれは生きてはいないだろうでも、たとえ死んでたとしてもお前には伝えておかなきゃいけないことがある。一つはお前の本当の名前についてだお前の本当の名前は和田大輝、いまの柊哲は俺が作った空想の人間だ籍はあってもほんらいなら存在しない人物だ。二つ目はお前の記憶についてだ。お前は二年前俺と木崎がまだバディを組んでいた頃に会ったんだ、殺人者としてな。被害者はお前の両親、加害者は血まみれでナイフを持ち気を失っていた和田大輝だ、その少年は意識を取り戻すとショックで自分の記憶が全て消えていたらしい、記憶喪失という奴だ。お前に言いたいことは山ほどあるだが一つに絞ってお前にこの手紙を呼んでもらったときに考えてもらうことにしよう。俺がお前に言えることはただ一つ、いまの仕事をやめてお前は一般人としての道を歩め、今ならまだ間に合うだからお前は普通の道に戻って欲しい、無理に記憶を思い出す必要はないお前の為にお前が後悔しないためにやり直すんだ」

神城からの不可能に近い願いは哲が受け止められるレベルでは無かった、哲はいまの自分が記憶の無いままで死ぬのだけはできないそう思っていた、自分が何者でなにをしていたのかそれがわかるまでは哲は死ねなかった。

「お前の答えを聞けば神城も止めることは無いと思う、おれもお前のことは止めない」

「無理に決まってるだろ俺にはなにもないんだそれに、この血で染まった手で普通の生活に戻れるわけがない」

「そうかもな、ならせめてあいつの仇討ちは頼んだぞ」

「現職の警官が言うこっちゃないな」

「同感だ」

木崎の苦笑いを横目にコルトガバメント(M1911)のマガジンに弾丸が込められていることを確認した、靴を履きベッドから立ち上がった

「仕留め損なわないようにする」

といい部屋から去って行った。


義手の男のいる場所へ向かう途中哲は一度家に戻り、愛銃を手にして義手の男のいるであろう場所に向かった。

そこは、クリスと戦った哲が普段庭として使っている廃校だった。

哲はトラップに注意しながら痕跡をたどり二階にたどりつくと、朽ち果て壁が抜けて教室と教室の間の壁のない、支柱がいくつかある部屋へと入った。

そのにはなにかを思うように立ち尽くす義手の男がいた、哲が入ってきたのに反応したのか義手の男はこう述べた。

「貴様は生きていたのか、やはり注意すべきは殺した方の男でもなく貴様でもなく、その両方だったようだ、貴様は強運に守られているようだ」

「運も実力のうちかもな」

義手の男はベレッタM92の銃口を哲に向け、哲がまばたきをした刹那いきなり発砲してきた。

哲はしまっていたビンテージピストルを引き抜き横回転しながら支柱に隠れた。

ふーっと息を吐き支柱を壁にして先を覗こうとした、覗くまでもなく先ほどまであった義手の男の気配が消えたのは分かった、哲は床に落ちていたバールを左手で拾って壁から視線をさっきまで男のいた場所へと向けた。

その時後ろから強烈な殺気がした、右足で踏み込み半歩ほどの距離を振り返りながら飛んだ。

振り返った先にはなにもなく義手の男は最初にいた場所に堂々と銃を構えていた。

義手の男から放たれた弾丸は三発、哲の左の肩、腕、胸に的確に当てられ激痛が走った。

「くっ」

哲は素早く銃をしまい自由に動かせそうもない左腕のバールを持ち替え、義手の男に向かい突っ込んだ。

義手の男の目の前で振りかぶり殴りかかろうとした瞬間、義手は剣の用な形に変わり心臓めがけて突きつけてきた。

しかし、その刃は哲に刺さることはなく哲は後ろをに飛ばされていた、義手の男の剣は哲では無くその間に入った何者かに刺さった。

義手の剣はそいつから剣を抜き押し倒した。

「貴様はやはり強運に守られているようだな」

哲はバールを手から落とし銃を手に持った。

「今回は去ってやろう、また今回と同じ方々で私を探すがいい」

義手の男が窓から飛び降り去って行った。

「待てよ、この野郎」

銃を逃げた義手の男に向かい連射した。

すさまじいスピードで逃げていった義手の男が視界から消えたのを確認して哲は銃をしまった。

後ろを見て血だらけになっている人の元へ向かった。

近づくにつれ、自分への嫌悪と共に涙が溢れてきた、そこにいたのはすずねだったのだから。

「哲、くん復讐にとらわれちゃだめだよ、復讐心は判断を鈍らせるって神城さんが言ってたでしょ? 、私や神城さんの事は気にしないでいつも通りにやるんだ、よ?」

最後の力を絞り出し哲へのアドバイスを言い残し、この世から去って行ったすずねを哲はただ呆然と見ていることしか出来なかった。

すると突然すずねの携帯から洋楽の着信が入った、哲は携帯を手に取り電話に出た。

〔ずすねか? 哲はどうだったんだ、まさかお前らが哲にGPS持たせてるなんて知らなかったぜ〕

「木崎さん俺です」

〔哲? すずねはどうした〕

「木崎さんすずねさんが、、、」

〔すずねがどうかしたのか?〕

「すずねさんが、俺を庇って」

〔んなっ、ならお前は今すぐ逃げろ警察がそこに向かってる見つかって捕まったら警察のバッチとられるぞ? 、こんどこそな〕

「わかりました、とりあえずここから出てって奴を追いかけます」

〔わかった〕

電話を切り、いままで出ていた涙をぬぐい窓から飛び出ると、パトカーのサイレン音が鳴り響いていた。

「早くいかないと木崎さんのメンツを潰す事になりそうだな」



―一時間後埼玉県入間のとある倉庫―

「そこら中逃げ回って追跡魔法の位置がとまってから飛んできたと思ったら、ここまで来てるとはな移動早すぎんだろ」

(余談を入れるとすれば哲さんが住んでいるのは埼玉県北部筆者の出身地の鴻巣市っていう設定です、最初の方に載せれば良かったちょいと後悔)

中に入るとそこには二人の男がいた、義手の男とマントの男、オルギン基地にいた三人組の二人だった。

「来たか」

「待っていたぞ! 少年」

「どうせ死ぬんだから意味は無いと思うが一応名前を聞いておこう、こっちは名乗る必要はないだろう? そっちだけ俺の身分を知ってるのはフェアじゃない」

「はっはっはっ! 確かにフェアじゃないなならば教えておこう私はキーロフ・B・ブラックだ、こっちはチャーチル・F・フィフター」

マントの男はキーロフ義手の男はチャーチルというらしい。(本音を言うとクリスの時同様名前を出すタイミングありませんでした、出すタイミングの勉強しよう)

チャーチルが右側にいるキーロフを軽く手でたたいていたが、気にしない(キリッ)

「B人の名前までだすなアホ」

「いいだろう? F最悪私達がやられてもAが残っている」

「あいつは信用ならない」

「仲良く喋ってるのはいいがさっさと始めようぜ? 、片方の奴には借りがあるんだ」

しびれを切らせた哲が戦闘の火蓋を切った。

「いっかい負けてるくせに生意気、武器ももってないくせに」

「武器がなくても勝てるさ」

「こんどは守ってくれる盾も強運もない」

「運命は浮気者勝負は時の運だっけか? 、俺は神も運命も信じていないタチでね。かかってこいよ三流格の違いを教えてやる」

「状況のわかってないやつに勝利はない」

「待てF!」

キーロフの指示を聞かずにチャーチルが哲の挑発に乗り突っ込んできた。

「掛かったな」

哲は右手で今回は2本で(親指、中指、人差し指ってかんじライトニングスピアの時は親指、人差し指ですかね)

銃の形をつくり中指と人差し指の間に魔力を集中させ、ライトニングスピアの原理を応用したオリジナルの魔法を発動した。

【雷魔法:レールガン】

「いけぇ!」

発動された魔法はチャーチルに当たった、チャーチルは吹っ飛び壁にたたきつけられた。

「威力が微妙だな、あとで改良しないとだめか」

独り言を言っていると正面からキーロフの拳が飛んできた。

「怪我して片腕しかつかえない相手にも勝てないようじゃ、あんたらは三流以下みたいだな」

哲は拳を止め掴んだ手でキーロフの拳を砕いた、悶絶し転がり落ちたキーロフに向かいフルパワーのライトニングスピアを放ちチャーチルにも同様に放った。

奥に進むとそこには顔の見えなかった先ほどキーロフがAと呼んでいた人物であろう男がいた。

「二人がやられちゃったのか、僕は弱いから君に勝てる自信はなかったんだけどね二人と違って武器もつかえないし」

そういいながらAは目にもとまらぬ早さで哲の目の前に現れ腹部を素手で突き刺した。

哲は言葉を発すること無くAの肩の中で意識を失った。

哲が目をあけるとそこは全方位真っ黒の漆黒の空間だった。

哲はいままでの自分の生き方を考え感傷に浸っていた。

俺は人からすれば偽善者かも知れないでもそれで後悔したことはなかった。

はっきり言って後悔したこはないむしろ自分の気持ちをほめたいくらいだ。

いままで歩んで来た道を考えてみても悔いはないでも、あのときあのルートを選んでいればよかったそうすればよかった。

そうすれば神城の言っていた嫌な記憶も思い出さずにすんだかもしれない。

そんなことを考えていると正面から白い服装のふわふわ髪の女の子が現れた。

「恐れる事はありません、これはあなたに元々あった力あなたは希望この世界の事は頼みました」

何の事かはわからなかったでもそれを問い掛けることはできなかった、声が出ることはなく哲のいままで失っていた和田大輝としての記憶が少しだけフラッシュバックしてきたからだ。

神城の言う通り俺は自分で親を殺し、その直後から記憶を失っていたことが断片的にだがわかった。


哲が腹部の激痛を堪え目を覚ますと以前と腹部にAの腕は刺さったままだった。

哲は力を振り絞り右手でAの首に絞め走って壁にたたきつけた。

「全部思い出したいままでの俺自身の戦い方を」

激痛を堪え左腕を無理矢理動かしAの腹部に刺さった腕を抜いた。

「君のどこにそんな力が残っているんだ、君はもう死者同然の体のはずなのに」

「俺には、俺の生き方にはこれしかないんだ、だから最後まで悔いの無いように生きてやる」

哲は両手でAの首を元を掴み地面にたたき付けた立ち上がったAに哲は銃を突きつけた。

「け、拳銃まさか、どこに隠し持っていたんだ、ここに入るとき金属探知機は反応しなかったのに」

「魔法だよ、魔法この世界には科学じゃ説明できないものばっかなんだよ」

哲のオリジナル魔法、フルアイテムワープ一度触れたことのあるものなら全てのものを取り出せる魔法。

その時哲とAの戦闘は終わりを迎えた。



ーあ~♂とがきー

今回は中途半端な終わり方ですよう次回気になるのかな?今回は書く気にならなくて全然進まずこの始末中途半端におわったから次回は短いよ!中途半端に終わった理由は次回の最初を見てください、はい

それではまた次回も読んでくれてありがとうございました!

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