禁断魔法の代償


ウルフとの戦闘が終わるなり哲は部屋にこもり、いつの間にか時間は九時を回っていた。

コンコン、というノックと共にミスティが右手に軽食を持ち部屋に入ってきた。


「何のようだ」

「大輝さんここ私の部屋でもあるんですが」

「俺は、あと一週間で出て行く絶対にな、まずは明日やつと1戦交える」

「ふふっ、がんばってくださいね大輝さん」


不思議な笑みを浮かべながらミスティは軽食を置いた。

二時間ほど経ちミスティの置いた食事を食べた。

美味い、美味いんだけど味が濃いな。でも酒とタバコよりはいいわな。

文句を言いながら電池と一緒に頼んだボトルのウォッカを飲み干した。



次の日ミスティが目を覚ますと部屋に哲の姿はなかった。

その頃哲は学長室にいた昨日感じていた気配、そして戦いを挑む為に。


「意外と来るのが早かったようね」

「あんたを倒して俺はここを出るそれといくつか聞きたいことがある、まず一つあんたは昨日見てただろう何故奴らを自分で倒さなかったのか。二つ俺がお前を殺すにして俺はここから安全に出られるのか?この国を。三つ今回の戦うならお互い1つハンデをつけないか?、俺が要求するのは武器の使用だ」

「一つずつ答えよう一つ目は君の力の真価を問いたかった、二つ目君は安全にこの国を出られるそれは私が保証しよう、三つ目その条件を飲もう、私の条件はそうねもう一人クリファトル、ミスティ・ヒロマと共に戦ってもらおうか二人とも腕には手錠を付けてね」

「乗った一時間後に決闘場だ」

「異議はない、君が勝つことを祈ろう」


学長の万遍の笑みをみながら哲は部屋を出た、部屋に戻るとそこにはミスティがいた。

無言のままポケットに二つの携帯と予備のバッテリー、乾電池をしまい腰に巻くタイプのバックに残りの乾電池とウルフのナイフをしまった。


「大輝さんて普通の魔法は使えないんですか? 昨日の戦闘を見ていても自分で作った魔法とかくらいしか使ってなかったですよね」


昨日の戦闘中使いナイフを超音波化させたサウンドウェーブエンチャント、銃弾を凍らせ兵士をも冷凍した氷魔法、そして衣類を吹き飛ばした風魔法全て本には載っていない魔法だった。

すべての魔法、本に書いてあった魔法はすべて効果範囲は大雑把で銃の弾薬だけを凍らせるようなことはできないものだった、それを哲は自分の作り出した魔法として範囲を細かくセッティングすることができた、そのため従来からある魔法同士を合わせね威力調整は携帯のバッテリーや乾電池に溜め込み抑えることしか出来ない、哲の体内魔力量があってこその威力だが。


「使えないわけじゃないが加減ができないからな、生身の人間に使うには危険すぎる、だから今回は出し惜しみなしでフルで活用させてもらうさ、お互いハンデ付きの条件でお前の代わりに俺は武器が使える」

「私ですか?」

「俺が武器を使える代わりにやつと戦うときはお前も一緒だ、どうにかして俺の足を引っ張る道具が必要だったんだろう」

「そう、なんですかね」

「俺は少しばかり寝る、昨日の傷も治ってない治療すらしてないしな」


そういって哲はベッドに横になり眠った、その姿をみたミスティは哲に向かい治癒魔法をかけた哲が目を覚ます少し前まで。



三十分後哲が目を覚ますと治癒魔法を使い疲れ果てていたミスティはベッドに顔をつけ眠っていた。

傷が治ってる、流石に傷口が塞がるわけはないかそこまで便利なものじゃないようだな。

哲は立ち上がり手袋をはめると哲が目覚めたのに気づいたのかミスティが目を覚ました。


「大輝さんもう行くんですか?」

「あぁ、できれば一刻も早くこの学校を国を出たいからな」


哲はバックを腰に巻きミスティと共に決闘場へと向かった。

中へ入るとそこにはたくさんのギャラリーがいた、学校内ではクリファトルの卒業試験は名物イベントらしい。


「随分と来るのが早かったね、これが条件達成に使ってもらう手錠だ」


そう言い放つと学長は手錠を投げてきた、それを受け取った哲は左腕ミスティは右腕に手錠を取り付けた。


「それじゃあ命をかけた戦いを、始めようか」


そういうと同時学長から波のような波動が飛ばされた、魔法ではない別の何かによって哲とミスティは吹き飛ばされるところだった。


「ミスティ、お前今の魔法が何かわかるか?」

「わかりませんでも、魔法じゃないのは確かです」

「だよな、なら先手必勝だ」


哲は携帯と二本の乾電池を右手につかみライトニングスピアを放った、当てるつもりのないその魔法を学長は避ける必要すらなかった。

パンク寸前の乾電池と携帯のバッテリーを周りに投げて新しいバッテリーと電池を手に掴んだ。


【加重系重力魔法:グラビティプレス】


学長に向かい放った重力魔法は見事にかき消されて消えた。

なんで当たった魔法がかき消されるんだ、まさかさっきの波動は防護系の魔法か、なら切り札も使えなくなるかもしれねーなどうすればいい。


「ミスティ魔法を無効化する魔法なんてあるのか?」

「ないはずです大輝さんみたいにオリジナルじゃない限りはでも、すいません大輝さん私なんの役にも立てなくて」

「今はお前の知識が命綱だから安心しろ、お前がいなかったら本当に勝機が無かったかもしれん」


哲はライトニングスピアを連射し逃げ回りながら自分の描くポイントに乾電池とバッテリーを投げ続けた、最後の一個になるまで。

俺の読みが正しければ物理攻撃は当たるはずなんだ上手くいってくれよ。

哲はナイフを勢いよく投げつけた、しかし学長に当たる事はなくナイフは寸前で止まった。


「読みは当たりだよ大輝くん、でも私にはまだまだたくさん切り札があるんだ、君には一つしか無いようだけどね」

「サイコキネシスか、ほんとのとこそれ魔法じゃないだろ。魔法も超能力だろうが超能力と違って突然変異じゃなく訓練すれば誰でも使えるようになる、でも超能力は魔法と違って人工的には作れない。原理はまだわからないが最初の波みたいな音波攻撃で自分に当たる魔法の無力化、そして俺がそれに気づいた場合はサイコキネシスによる物理攻撃の停止」

「そこまでわかっているなら君の詰みは理解したんじゃないのかい?」

「俺だけだったら詰んでたかもな、あんたのおかげだ俺の勝ちは決まった。サイコキネシスが止められるのは魔法以外の物理攻撃、魔法の無力化は物理攻撃は通るってことは魔法で作った物理攻撃は効くって事だよな?」


哲は左腕でミスティの右手を掴み伸ばした、するとその手を中心にしてオレンジ色の粒子が集まり四角いブロックへと変わった。


「これは俺の完全オリジナル魔法だくらいな」【空を舞うスカイブロック


ブロックは学長に向かい飛び今度はかき消されることも、サイコキネシスで止められることもなく命中した。

スカイブロックに当たった学長は吹き飛び哲が描くポイントの中心点に飛んだ。

再び哲は学長に向かい今度は狙いを定めてライトニングスピアを放った、そして最後のバッテリーを投げすべての乾電池、そしてバッテリーに組み込んでいたライトニングスピアの術式を発動させた、最後に投げたバッテリーめがけ一点に集まるように。


「いまだ! 撃てミスティ」


合図と共に離していなかった二人の手から最大出量のライトニングスピアが放たれた。


「これでピースは揃った」


そもそも術式など存在しない哲のオリジナル魔法ではできない、術式に術式を掛け禁断魔法を使うという哲の切り札は成功した。

無数のライトニングスピアは形を変えて魔法式術式へと変わった。


【禁忌術:エレメンタルクリムゾン】


魔法が発動されると学長が飛ばされた地点を中心に火、水、光、闇、風、土、氷、雷の属性魔法が発生し混ざり合い決闘場はギャラリー席を除き吹き飛んだ。

もちろん哲とミスティも例外ではなく吹き飛ばされ壁にたたき付けられたが、哲が身代わりになりミスティが怪我をすることはなかった。


「こ、これで俺たちの勝ちだよな学長は跡形も無しか」

「なにを寝ぼけたことをいっているのかな?」


頭上を見るとそこにはさっきエレメンタルクリムゾンをくらい跡形も無くなっている予定のはずの学長の姿があった。


「学長先生生きていたんですね」

「なにを言っているんだいそいつはもともと、私を殺すつもりなんか無かったんだよ」

「たとえ依頼だろうと人に頼まれてそいつを殺すのは嫌いでね」


土埃を払い手錠を外し立ち上がった哲の言葉は誰が聞いても呆れる発言だった、殺し屋としてどうなのかと思われるレベルだ。


「まさか禁忌術まで使えるようになってるとはね君はやはり面白い柊哲くん」

「え? 学長先生この人は和田大輝さんじゃ、、、」

「それは偽名だよもっとも記憶のない君にはだけどね」

「あんたも俺について知っているのか? なら和田大輝ってのは一体」

「教えてあげたいけどその権利は私にはない、自分で見つけることだ」

「え? え? なにがどうなっているんですか?」


ミスティを取り残して離していた二人だったが学長が見事に軌道修正してくれた。


「なにはともあれ君たちは卒業だ、でもミスティちゃんには行く宛がないんだったねまあいい哲君とともに日本へ飛ばしてあげよう世話になるといい」

「はぁ!? ふざけんなそんなことまで俺の依頼内容には入ってな・・・」


哲がしゃべっている途中でも気にせず学長は転送魔法で哲とミスティを日本へ送り飛ばした。


「きっと、君の記憶はもどるさなにか大切なものを思い出すためにね」





気が付くと自宅の自分の部屋へと転送されていたミスティも含め。


「はぁーまたやっかいごとおしつけられたなもう一つこのチョーカー作ってもらうか」

「ごめんなさい大輝さんいろいろと」


周りを見渡すと見たことのない服なども転送されていた。


「これってミスティの服か?」


そういうと「はい」と申し訳なさそうにミスティが答えた。


「気にすんな、行きたいところが決まるまではいつまでもここにいていいぜ」

「あっ、大輝さんありがとうございます」

泣きそうな顔でミスティは哲にお礼を言った。

「空き部屋あるからそこに案内するぜ」



ミスティを部屋に案内し荷物整理部屋に戻ると神城から呼び出しがあった。

呼び出しに応えるために1階へ向かうとそこにはアリスの姿があった。


「お前フランス語ってできるか?」

「一応、日常会話くらいならできるわよ?」


スゲーなお前何ヶ国語喋れんの。


「なら新しい同居人の世話係頼むわよろしく、俺はこれから新しい仕事だから多分」

「わかったわどこにいるのかしら」

「二階にいるあとはたのんだぞ」


そういい哲は家を出て神城の家へと一直線に向かった。



相変わらずの見た目の神城家に入ると神城と見たことのないロボットがいた。


「なんで仕事から帰ってきたの知ってんだよ」

「依頼主から直接きいたさお前に女を押しつけたともな」

「ちっ、余計なことをそれでこのロボットは」

「ああそいつかアナハイムに改良型のチョーカー発注したらお試し用で実験してくれって送られて来たんだよ」

「改良型のチョーカー?」

「新機能で登録した服にいつでもどこでもワンタッチで着替えられる、機能を付けたあと文章読むのに必要なメガネもな」

「助かる」


メガネとチョーカーを受け取り仕事の話に切り替えた。


「それで要件はなんだ? わざわざ便利道具渡すためだけに呼ばないだろ」

「あーそれだが新しい仕事だ、アメリカのペンタゴンから仕事の依頼だ」

「アメリカ政府が? 殺し屋に依頼? おかしいだろそれは」

「表向きは軍事スペシャリストだとよこれチケットだ」


文句も依頼内容も依頼料も言わず聞かずでチケットを受け取り神城の家を出た。


「ペンタゴンに行くときはスーツを着て行けよ」







ーあとがきー

みなさんおはこんばんにちは箱丸です今回は珍しく一日で書いた作品でございます一日かかってないかも。

睡魔と戦いながら書いたので誤字脱字あるかもしれないですそれではまた次回作であいましょうアディオス!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る