ムーア魔法学校


行きの飛行機の中で哲はぐったりしていた。


「くそう人が高所恐怖症なのしってて窓際の席にしやがったな、気持ち悪いぜまったく」


外を見ないようにアイマスクをつけていたのだが、さっきCAが来たときに外を見てしまった、外が真っ暗でもそこが飛行機内なら高所なのだ。



数時間すると飛行機は空港へ着いた。

フランス国内に入る方法は飛行機じゃなくても関所からでも確か入れたよな、もう飛行機はいやだからタクシーで関所まで行こう。

年期の入って錆び付いたタクシーに揺られて更に一時間現地時間で午前五時を回っていた、外はまだ薄暗く関所の入り口には警備員らしき二人の男性の姿を確認した。

関所が開くのは六時何もない場所で一時間も時間を潰せるはずもなく。

宛てはないが関所へ向かい歩いた。


「君、関所で入国できるのは六時からだよ後一時間程待ってくれるかな?」


チョーカーの動作確認の為に話かけた、ついでに土地勘もなくここから学校まではどれくらい掛かるのかを知るために。


「この関所から入って魔法学校へはどれくらいかかりますか?」

「君は編入生なのかい?」

「はい、そうですが」

「それなら身分証出して荷物検査させてくれればすぐに通そう」


言われるがままに荷物と身分証を渡した、荷物は空港にあるような機械で検査していた。

そういえば字を見るときってどうすりゃいいんだ、まっなるようになるか。


「問題ないようだね、馬車が用意してあるからそれに乗っていくといい」

「はい、ありがとうございます」


乗り物酔いの多い哲はもちろん馬車でも酔った、他には船や他人運転の車でも酔います時々ヘリでも。

またまたぐったりしていると馬車の窓からトリンデルン城が見えた。

ネズミの国のシン●レラ城みたいだな、あれにいまだに住んでる人間がいるのか行くことはないだろうが、まずは荷物を下ろして武器調達しないとな、プラスチックナイフとスタンロッドじゃ無理があるぜ。

金属探知機に引っかかっらないプラスチックナイフと、これまた金属探知機に引っかかっらない作りになっているスタンロッド、大丈夫だと思っていても一応保険は掛けておいた。

しばらくすると魔法学校についた、なかに入るとでっかい校舎に男女共同の寮が二つ見えた。

哲は右手にあった寮の屋上に目を向けた、そこには透き通った水色の髪をなびかせながら屋上の仕切りの上をあるく少女がいた。

すると突然強風が吹き少女がバランスを崩して落ちた。

きゃー、と言う声と同時に奥行きのある三階建ての寮から降ってきた彼女に向かい哲は走り込みジャンプしてダイビングキャッチした。

ぐぇ、と言うカエルがつぶされたような声と引き換えに。


「き、君大丈夫? 怪我とかない?」

「あ、あの助けてくれてありがとうございます、おかげで無傷です」


水色の髪の彼女は赤面した顔で着ていた服についた土埃を叩いていた。


「見かけない方ですね、私はミスティ・ヒロマと言います、もしかして編入生さんですか?なら学長の所へ案内しますね」


ミスティと名乗った彼女に連れられ校内に移動した、やはりまだ校内には人一人いなかった多分始業前なのだろう。


「そういえば名前言ってなかったな、俺は和田大輝って言うんだよろしくな」


潜入中の偽名として名乗ったのだが、思いつかなかったのもあるのだが、クリスに言われた名前が引っかかっていたのもあった。

学長室の前に着くとミスティがドアをノックした。

「入りなさい」、という許可の声が聞こえた。


「それでは和田さんがんばってくださいね」


意図の読めない応援の言葉だったが気にせず部屋に入り、学長らしき銀髪の女性と対面した。


「和田大輝と呼んだほうがいいかしらそれとも柊哲かしら」

「なぜ俺の名前を知っている」

「私があなた達に依頼したからよ」

「なんのために」

「あなたを利用するため、そしてあなたを意志を持った最強の再利用可能兵器リカバリーウェポンにするため」

「リカバリーウェポンだと」


哲は身の危険を感じ腰からプラスチックナイフを取り出した。


「あなたのここでの最終目標は私を殺すこと、私を殺してこの学校をでることよそのためにまずは、編入試験を受けてもらいましょう」


教科書くらいのサイズ二千ページはあるであろう本を渡された。


「君の力を試したい君のクラスの首席と戦ってもらおう」


さっきの応援の意味が分かり、校舎の奥へと連れられた。

奥にすすむと闘技場のような場所についた。


「ここは決闘場だよ普段は私闘にしか使われないが、編入試験にもつわかれるんだ」

「試験の内容はなんなんだ」

「普通の人間が魔法を使うには普通の方法じゃ無理なのさ、それこそ死にかけて窮地に追い込まれるくらいしないとね、でも、少しは知識を覚えてないといけないそこでその本の出番だ、いままで編入試験で入った生徒は[クリファトル]と呼ばれる、クリファトルはいまこの学校にも一人卒業して[アマルガム]になった人間は五、六人いる私は八代目学長だ六代目までの人間はこのシステムで死んでる、七代目は実が熟す前にしんでしまった、実際クリファトルは通常の学生よりいい成績を残しているんだ、まあ君もがんばってくれたまえよ」


そういって学長は哲をのこして去っていった。

すると反対側の扉から一人の筋肉質な男が出てきた、ふと左側をみると老人三人と素早い移動の学長がいた、学長はこちらを見ながらニヤリとしていた。

いやなやつ。


「ガイル、彼の試験相手は頼むよ最悪殺しても構わない」


学長の不謹慎な言葉はともかく、いつの間にか視界からガイルが消えていた。


「消し飛べ」


反応しきれないスピードで殴られた。

はぎゃう、というみっともない声をたてた哲は壁に打ちつけられた。


「武器を使わなければ何でもありだぜ編入生さんよー」

「ごほっ、了解だくそ野郎、ちくしょうあばら何本かおれたな」


胸を押さえながら本を開いたしかし内容をみる前に再び殴られた、本のページに指を入れてガイルの拳を防いだ。

手に残った数枚以外は空中に舞った、哲は本の舞った中身を一瞬で視認した。

物理強化のパワーライズ、俊敏化のドライブか、使えなくても知識は攻略に必要なるかなあとは手持ちのこれに賭けるかな。

哲は残りの紙を見て使えそうな魔法を二枚選んだ、再び飛んできた拳をつかみ取り背負い投げした。

ガイルそして周りにいた全員が驚いた顔をしていた。


「武器使わなかったら何でもいいんだろ?」

「面白い」


ガイルは最初にい位置まで退いた。

哲は指で銃の形を作り集中した。

手持ちにあった数枚の一つに書かれていた魔法は、雷魔法の【ライトニング】と【サンダースピア】が書かれていた。 

ライトニングは飛距離の変わりに威力が微妙な攻撃はで、サンダースピアは正反対で威力が大きい代わりに飛距離が短い。

ガイルとの間合いでは届く魔法じゃない、ガイルが哲の手持ちの紙を見て距離を取ったのかどうかはわからないが。

今のところガイルの方が一枚は上手と言うことはわかる。

手持ちのカードだけで勝つにはアドリブでやるしかない。


「ぶっ飛ぶのはお前の方だ!」

【雷魔法:ライトニングスピア】


指先から光の閃光が出た凄まじいスピードで壁に激突した。

壁は完全に倒壊していたが、哲自身が制御できていないその攻撃はガイル自身には当たっていなかった、哲は間髪入れないで次の魔法を放った。


【爆破魔法:メテオバレット】


これも先程のライトニングスピアと同じ、ふたつの魔法を合わせてお互いで長所で短所をカバーした魔法。

当たりはしなかったがアドリブにしては良くやったと思っている。

絶望したのか膝から崩れ落ちたガイルを横目に、学長に視線を向けた。


「学長さんまだつづけるのか」

「いや、もういいついてきたまえ」


近づいてきた学長に連れられまた進んでいった、目的地に着くと先程のミスティという女の子が落ちてきた方の寮についた。


「ここが今日から君が住む寮だ部屋は二百十一号室だ同室者は君と同じクリファトルだ、さっ行きたまえ来月まで授業はないゆっくりなれるといい」


学長は歩きまたどこかへ行ってしまった。

部屋へ向かいドアを開けると中には見かけたことのある水色の髪の女の子がいた。

部屋の内装は二段ベットにクローゼット二つに本棚付きの机が二つあった。


「相部屋の相手は君だったのか」

「大輝さん! 編入試験終わったんですね、怪我がないみたいでよかったです」

「あばら折れてるけどな」

「治療しますか?」

「いや、いいその前にここでのルールを教えてくれ」

「ルールですか」


ミスティは口を少しの間閉ざした、思い出し終わったのか話してくれた。


「今は休業中で学校外にでるのは自由です普段は外出許可が必要になりますよ、門限は六時です後は特に無いような」

「なら少し出かけてくるわ買いたい物がある」


いくらこれから魔法が使えるようになろうとも剣くらいは欲しかった。


「八時にならないと出られないですし、昼間に歓迎会があるから出かけないほうがいいですよ」

「んじゃあそれまでは魔法関係の本漁るさ、それに知り合いに携帯もう一台と電池パックと乾電池頼まないとな」


さっきのライトニングスピアで出た雷の反動で未だに手が痺れている、それの対処法と威力調整の仕方を考えよう。

いまのままじゃ魔法を使いこなすなんて夢のまた夢だ。


「じゃあ図書室まで連れて行きますよ、私一応監視役するようにいわれているので、それにクリファトルしか見ちゃいけない本もありますし」


監視役、同じ立場なのにやはり学長にはなにか隠していることがあるのか。


「お願いするよ」


図書室に着くと八時を回っていた。


「魔法の名前と効果の書いてある本を片っ端から持ってきて、またはわかるなら試験の本に載ってなかったやつだけでもいい」

「わかりました」


頼んで持ってきてもらった本は六十冊、見る限り全部あの本には載ってなかったと思われる魔法、ミスティが言っていたクリファトルしか見てはいけないという本だろう。


「昼まで読んでるから邪魔しないでね」


先ほど神城に送ったメッセージの返信がきていた。


『頼まれた物は夕方に届くと思うぞ』


とりあえずなんとかなりそうだな。



昼間になり全ての本が読み終わった。


「お昼ですし戻りましょう」

時計を見たミスティが話しかけてきた。

「行かないとだめか? 俺賑やかなのは嫌いなんだが」

「ダメですよ、せっかく皆が用意してくれているんですから」

「わかったわかった」


ミスティと寮へ戻る途中外から鼓膜の切れるような振動の爆発音がした。

哲は外へ走り出した、もし自分の仕事が学長の言っていた依頼内容だけじゃなく神城にみせられた施設防衛も含まれていたら、この学校は何者かに狙われている。

外に出ると四メートル程の全長のロボットと十五人程のライフル持ちの兵士、腕にはロシアのマーク。

それを確認し哲は胸ポケットから携帯とスタンロッドを出した。


「なぜロシアの兵士がこんなところに」


素朴な質問には五人の一斉総射を受けた。

壁に隠れ身を隠し弾丸を防ぐと敵の一人が答えを出した。


「私達の任務は武器を持たない貴様を殺しこの施設を破壊すること」

「戦争になるぜ」

「心配いらないここの国王の許可はでている」

「それ聞いて安心したぜ」


哲は右手を銃の形にして今度は手のひらに携帯を置いた、そして左手にはスタンロッドを持った。

そしてロボットめがけて魔法を放った。


「武器はなくても、魔法は使えるぜ」


ロボットは大破しかし兵士は一斉に攻撃してきた。


複数照準マルチマジック風魔法:ネイキッドウィンド】


魔法を唱えると同時に強い風が走り、敵兵士の下着と銃以外の装備が破れとんだ。


「どうだ、全魔法を覚えて編み出した服飛ばし魔法だぜ(キリッ、まぁ俺からしたら女に使わないと意味がないんだが、、、」


残念そうな言葉のトーンの哲だったが、右手が痺れてがないのと同時に知識だけで魔法を少しは使いこなし始めた感覚を得た。


「ふざけるなぁ」


兵士の一人が激怒しながらライフルの引き金を引いた、しかし弾が出ることはなかった。


「ふざけてなんかないぜ現に今引き金は引けないだろ? 俺は臆病者でね保険は掛けられるだけ掛けるんだわ」


引き金を引き続けている兵士は予備の拳銃に手を着け構えた。

哲はスタンロッドをプラスチックナイフに変え、プラスチックナイフに【エンチャント:サウンドウェーブエンチャント】の魔法を掛けて兵士の拳銃を持っていた腕を切った。


「うわぁ、や、やめてくれぇ」


哲は浴びた血を拭き取り拳銃を拾った。


【氷魔法:アイスカーペット】


魔法を唱えると床が円形に凍りつき始め、腕を切られた兵士は凍りつき他の兵士も徐々に凍りついていった。


「怖いもんだな魔法ってのは」


哲は凍りついた兵士とロボットを一カ所に集めた。


「銃が使えなくともこの程度の雑魚はやはり余裕か、貴様には敬意を表さなければいけないようだ」


語りかけるような言葉が後ろにいた黒衣の男から発せられた、無数のナイフを持ったその男から。


「貴様程の人間がアメリカの犬に成り下がろうとは、残念だ」

「アメリカの犬? 聞いた事もなった事もないね」

「これからなるのさ、我がコードネームはウルフ犬を狩る優秀な狼だ」

「狼が犬を狩る? 犬も狼も同じイヌ科だろうが」

「ほざけ野良犬が」

「だから犬じゃねーっての」

【風魔法:グングニル】


躊躇無しに左手の先から出した緑風の槍をウルフに向かい投げた。

あ、やべっ壁壊しちった、いいやあとで直すか、これじゃあ施設防衛じゃなくて施設破壊だな、てへ。

余計な事を考えていると壁の反対からナイフが十本程飛んできた。

壁を貫いたナイフの数本は哲の体に刺さった。

地味にいてぇ、オルコン製のナイフかよ壁を先だけでも突き抜けたのは硬さとあいつの技術なんだろう、ナイフは回収して自分で使おう。


【爆破魔法:ビッグバンブラスト】


魔法を唱え壁を含めて校舎ごと吹き飛ばした。

んー、見えないって不便だな覗き用の透視魔法でも使うか、人として落ちるとこまで落ちた気はするけどな。

透けた壁の先にはウルフとミスティがいた、完全に人質にされた状態で。


「野良犬! 見えているんだろ? この女を殺されたくなければ出てこい」


最下層はあいつだから心配して落ちぶれてられるじゃねーか。

哲は銃を構えてウルフの前に飛び出した。

飛び出すと同時にクレイモア爆弾の山に掛かった。

大量の爆風共に周辺が消し飛んだ。


「惨めだな英雄の最後というのは」


ウルフは哲が死んだと思ったのかミスティを離した。


「この世界に英雄はいないだろ、英雄がいるのは幻想ファンタジーとゲームの中だけだ」

言葉と同時にウルフの背中を蹴った。

「大輝さん大丈夫だっんですか」

「あばらは折れるわ背中にナイフは刺さるわクレイモアは踏むわ、これが無事に見えるなら病院行けよ。最悪だわこの白パーカーお気に入りだったのに後でジーパンもセットで買い直しだな」


ぐちぐち言いながら拳銃の弾を一発残して弾を捨てマガジンを投げた一緒にパーカーも。


「英雄じゃなければ伝説か?」

「会えば伝説じゃなくなる、俺はただの人殺しだ」

「くだらん」

「一つ頼みがある、戦う時くらい、、、黙れ」


哲はライトニングスピアを放ちミスティをお姫様抱っこで担いで飛んだ文字通り空を。

離れた所にミスティを置き、ウルフのもとへと戻った。

プラスチックナイフに再び魔法を掛けてウルフに走り込んだ。

ウルフは一斉にナイフを放った、百近い数のナイフを、しかし放たれたナイフは一直線に進むことはなく凍りつき地面に落ちた。

ウルフの左腹部にプラスチックナイフを刺した、寸前に右肩、左腹部、右胸部を投げられたナイフに刺された。


「なぜ、一撃で仕留めなかった」

「お前に選ばせてやる、俺に殺されるか自害するかだ」


そう言い一弾だけ残した銃を置いた。

哲はウルフから四歩程離れた所に立ち、ウルフにもう一丁の拳銃を向けた。

座り込んだウルフは銃を哲に向けて発砲した、、、銃声は三つ、一つはウルフが直前に直上に銃口を向けて発砲。

二つ、三つ目は哲が放った物だった。


「きたねえじゃねーか。あくまでも自分で自害はしないって事かよ、ふざけやがって」


哲の瞳には涙が浮かんでいた悲しくも嬉しくもない、この涙の意味がいまはまだ理解できなかった。






[あ・と・が・き]

次回脱魔法学校

もう魔法覚えたしな覗きし放題だから(笑)

プラスチックナイフの魔法は超音波ソードと同じ原理にするようなやつ

魔法名はまだ未定

音波化魔法? 名前はサウンドウェーブエンチャントとかかな?。

とにかく次回は学長戦

次次回は軍の犬になります。

ご愛読ありがとうございます。

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