第1話

私は口をあんぐりと開けながら、人形の魔物の群と戦う僧侶を見ていた。

僧侶はハエみたいな動きで空中を飛び回り、隙をついては女性ものの下着を相手に履かせるとという、ドン引く戦いをしていた。

僧侶が左手で魔方陣を描きながら気持ちの悪い呪文を唱える。

『理想郷よ!いますぐここに限界せよ!』

(マイワールド・イズ・アンダーウェア!)

魔物の足元に先程僧侶が描いていた魔方陣が浮かび上がり、一瞬にして魔物たちは紐みたいな女性用下着に身をつつんだ。

自分の惨状を確認した魔物たちは戦意を喪失し、ひたすらうなだれている。

最後の魔物が亀甲縛り(ブルマ付き)になったのを確認した僧侶が私に叫ぶ。

「さぁ、勇者よ‼とどめをさすんだ!」

私は魔物たちに哀れみをおぼえながら聖剣を降り下ろした。



どうやら、うちの僧侶は人としてだめらしい

冒険の初日でやたら下着売り場(幼児向け)に行こうしたり、やたら私のスリーサイズを聞いてこようとしたり(誰にもナイショだよ♥)、あげくのはてには目を血走らせながら女性(年齢問わず)の胸をガン見しまくっている始末である。(彼いわく、透視できるらしい)

魔王より、こいつを倒した方がよいのではないかと思ったほどである。

魔物を倒すより、こいつを切るために聖剣を抜いているといっても過言ではない。(切っても勝手に回復するので、さらにたちが悪い)

さっきの戦いも彼が急に、「魔物にも、穴はあるよなぁ。(真顔)」と言い出して単身飛び出していった始末である。

私の予想していたスリル溢れる冒険は、泣きながら下着を脱ごうとする哀れな生き物の首をはねるだけの仕事となったのである。

今も僧侶は横で赤い紐パンツをもて遊んでいる。しかも、私の私物である。

「いい加減私の下着返してくれないかなぁ。

顔をひきつらせながら言うと彼は自分の胸元に手を突っ込んで、手品師のハンカチのように一本にまとまった私の下着をするすると、とりだしてきて、「僕の好みではないようだ、返すよ。」と下着を返された。

私はこれで3桁にとどくであろう、彼へと

聖剣を叩きつけた。









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