第一章 5セータンとの日常
あの神を名乗る奴は何者なんだ?
だが、俺の能力がやっと使えるんだな!!
よっしゃ!!
「これ、ダーク詰んだね」
「はい?」
いやいやいや、俺って詰むどころか無双だろ?!今から最強魔法を作ってそのスキルレベルを上げていくんだ!!
「バイトの休憩時間外に戦闘なったらどうするの?」
「あ、俺詰んだわ……」
ごめん、俺詰んでた。
バイト休憩時間以外だと催眠術しか使えない。
でも、催眠術を舐めないで欲しいんだ。
このセータンを奴隷にしたんだぜ!?
ん??でも、セータンも俺と同じ人間なのか?
「他のメンバーに心当たりある?我は全くないのだが」
「俺、一人知ってる バイト休憩中に寝ると必ず出てくるメリージュっていう女神が居るんだ」
「メリージュ……あいつか!!」
どうやら、セータンも知っていた様だ。
ま、今魔界の魔王になっているメリージュを知らない訳ないか……
「くぅぅぅ……次バイトいつ入ってるの?」
「今日の夜から 夜勤だ」
最近、俺は夜勤に入っている。
バイトの3回に1回ぐらいの割合で12時から入れられる、次の日8時までバイトをする。
20時間勤務、俺は当たり前のように入る。
で、今日がその日だ。
……考えてくれないか?
22時から8時まで入って、4時間後の12時から8時まで入る俺
鬼畜すぎだろぉぉぉぉぉぉお!!!!
バイトが終わって1時間が経過していた。
後3時間でバイトだ。
「あ、結界にいた少女忘れてねえか?!」
そういや、あの少女はセータンのプログラムに犯されて俺らは逃げたんだ。
しかしながら、俺に結界へ行くという選択肢はない。
寝ないと死ぬ。
「ダーク?」
「セータン……正座してくれ」
俺は公園のど真ん中でセータンを正座させた。
「ありがとう」
「な、なに!?」
セータンの膝に頭を乗せ、俺は一瞬で眠りについた。寝心地が良すぎる。
「わ、我の膝に ダークが……」
「今日だけだからな」
公園に遊びに来た親子や通り抜けをしてるサラリーマンに見られながらセータンも眠る。
☆☆
さっき沢山寝たから寝れないな……
「んんっっ……」
ダークが我を、我に抱きつい、ついている!!……けど、嫌じゃない。
むしろ、良い!!
人に抱きつかれて良いと思った事は今までで無かった。
我のこの感情は何だ……
☆☆
ピピピピーーッッ!!!
「あぁぁぁぁ」
アラームの音が鳴り響き、俺は起床する。
キツイ、もう俺寝不足で死ぬかもしれねえ、今から日勤、夕勤、夜勤をやるのかよ……
「え、あ、ごめん」
「う、う、ん……」
俺はセータンに膝枕をしてもらいながらセータンを抱きしめて、手を握っていた。
何だろうか、安心感がある。
「だ、だーく、バイトだろう」
「あ、あ、ああ!そ、そう、だ!」
ぎこちない会話になるのも無理はない。
寝不足とこの気まずい状況が悪いんだ。
いやぁ、今からバイトか。
俺はセータンとコンビニへ向かった。
その手はまだ離していない。
「お、黒沢くん 今日僕帰るね 一人で8時まで頑張ってー」
「店長 命令する 俺は22時からシフトに入る それまで貴様が一人でやってろ」
「承知しました」
催眠術久々に使ったんだが、効果やべえな。
正直、戦いとやらで催眠術しか使えないけど『お前は俺の仲間だ』とか言えば勝てるだろ。
そうして、俺とセータンはコンビニを出て、公園のベンチに座った。
「セータン、もうちょい寝るわ」
「う、うん……ダーク……」
「ん、どした?」
「……あ、いや、こ、この手はいつ離すのか、と思っただけだ」
「ん?……あ!!わりい!!すまん!!」
ガチで手握ってる事気付かなかった。
もう自分が分からねえ……
セータン……
そのまま二人は寝た。
いや、寝た振りをしていると言った方が良いだろうか。
このまま起きてても話が詰まるだけだから。
トイレの屋根から監視している視線
「……ダーク、セータン 間違えない」
……
20時、俺は自然と目が覚めた。
バイトかぁ……だりぃ。
隣ではセータンが俺に凭れながら寝ている。
俺の中で隣に居なければならない存在になっていた。
俺は、セータンを起こさないように立ち上がり、バイト先のコンビニで食べ物を買いに行こうとした。
「セータン、行かないで」
「おんぶ」
セータンは起き、俺におんぶを要求する。
「一人で歩けよ」
「嫌だ 我は歩けない」
「仕方ねえなぁ ほら!」
セータンをおぶってコンビニに入った。
店長が一人でレジを打っていて、少しだけ可哀想になったが、俺は店長よりもこのコンビニで働き、発注や検品など全て店長ではなく俺がしているからな。
レジぐらいして貰わないと多分このコンビニ潰れるわ。
「セータン 何がいい?」
「パスタ」
「うむ、何のパスタ?」
「何でもいい」
あぁぁ、何でもいいってのが1番困るんだわ……
「そっか、ならこれで」
俺は期間限定タバスコ20倍激辛パスタ唐辛子入りを買い物カゴへ入れる。
セータンは見ていないようだ。
俺は無難に鮭おにぎりとタラコおにぎりを入れ、水を2本買うことにした。
「あ、店長 お疲れっす」
「く、くろざわくん……今日は混んだよ」
「そうなんすね!後ちょっと頑張って下さい!!あ、それ温めでー」
「はい」
「お待たせいたしました、ありがとうございます」
俺とセータンは公園に戻る。
俺達の特等席だ。
「さてさて、食べますか」
「あぁ、ダーク 一つ言いたい事がある」
「ん?とりま、いただきまーす!」
俺はおにぎりの袋を開け始めた。
「我々は誰かに見られてる」
「まあ、店長に見られたわな」
「そうじゃなく、監視されている」
「え?」
確かに人目を感じた事はあったが、見られてる感じはない。
俺は一応周囲を見渡す。
「誰も見てないから食べようぜ」
「う、うむ……」
俺はそんな事よりセータンに激辛パスタを食べてもらいたかった。
パスタをもらった時に、パッケージを剥がしてバレ無いようにしていた。
「では、食べようか」
セータンは俺の背中から降り、地面に座ってパスタを食べ始めた。
「やっと座れるわ」
「これ美味しい!!」
「え?」
「こんな美味しいパスタ初めて食べたよ!!」
「嘘だろ!?」
美味しい訳が無い、いや、美味しいのかも知れないが、問題は辛さに触れていない点だ。
「食べてみなよ」
「あぁ、よこせ」
セータンはフォークを俺に渡した。
「ああがぐっぁぁかっっら!!」
「水水!水!水わ水を!!う、ぅ、」
「ほい」
俺は水を1本丸々飲み干した。
「あ、うまいな、あぁ……味わい深いかもしれない」
「ダークと関節キスしちゃったな」
「あ、うむ……」
また気まずい。
最近、こんな事が増えている。
「ごちそーさん!っと!」
「ダーク?」
「行ってくるわ!バイトに!!」
「まって、我も連れてけ」
こうして、俺は夜勤に向かった。
今日も昨日一緒に夜勤した奴と入っている。
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