最終話 新たな旅立ち
次の日のこと。璃音たちは王宮にある夢の間にいた。一段上のそこの本来国王が座るべきところには青銀の髪の軍服にマントを付けた青年が座っており、横には金髪を三つ編みにした青年が立っていた。
「さて、はじめまして。俺の名前は『蒼天華 凛珠』だ。黒白の一族で唯一の『神』でもある。ああ、そうそう。俺のことは陛下と呼べ、拒否権はないからな」
集まった13人+璃音たちの一部の師匠である朱祈乃 諒祈(ときの あさぎ)もいた。
「お前たちに集まってもらったのは他でもない。桜ノ宮 樹、天吹 凛樹、天吹 凛伽は昨日あれに遭遇したからわかっているとは思うが、あれからの宣戦布告が蒼の世界にきてな。お前たちには13代目のヴァリムフェリアーデとなって、影の一族側のヴァリムフェリアーデと戦ってもらいたい。というよりもお前たちは俺達の主たる『創造主』によって創られた強大な力を持った13の『魂』を持っている者たちの集まりだ。万が一に備えて創造主が創っておいた、イレギュラーが起きた時用の人材としてな。それでだ。お前たちにはこの世界の終わりを見届けたあと、蒼の世界に来てもらいたい。これが俺の言いたいことだ」
凛珠の言葉に璃音は尋ねた。
「それってどういうことですか?神風抄国界は近いうちに滅びるとでも?」
その言葉に対して凛珠が答えた。
「滅びるのは約二千年後。お前たちにはこの世界をそれまで守護してもらいたい。正直にいうとあれのせいで俺がこの世界を守るのは無理だ。あれの力は強い。他世界の存続を危うくしている。俺はそちらに力を使わねばならない。で、この世界はお前たちが守れ。これは一族の長としての命令だ」
全員黙り込んだ。理論が三兄妹よりもひどい。何なんだこいつはと全員が思った。
「ということだ。ヒロ、帰るぞ。俺は言いたいこと全部言ったしな。あとはこいつら自身の意思次第だ」
そういうとマントを翻して凛珠と金髪の青年は去っていった。
ある日のこと、樹は亮の結界領域にて璃音に尋ねた。
「なんで凛伽はずっと眼鏡をしているんだ?しかも不思議な眼鏡だし…」
その言葉に対して璃音は言った・
「…姉様は昔、目の前で恋人を殺されて、その人以外の人を視れなくするために眼鏡をかけているわ。姉様は気配に敏感だから、支障なく生活できるそうよ」
その言葉に樹は言葉を失った。凛伽の封じられた過去…それに関するものだとわかったからだ。でもそれはまた別のお話
それから約二千年後、凛珠の予想通り、神風抄国界は滅びた。民主化運動…民主化を求めた国民の手によって神風抄国の国王が処刑された時、すぐさま世界は崩壊を始めた。
「…これが世界の終わりか。なんというか、自分たちの命を守ってきたやつを殺すとは、人間ってなんて馬鹿なんだろうね」
和人が言った。
「人間は愚かで救いようがない。まあ、公表していなかった王家の人間も悪いと思うけど?」
ちらりと三兄妹を見てエルンストが言った。
「こんなの公表したっていずれはそうなってたさ。さていくぞ、蒼の世界へ」
凛樹の言葉に全員が頷き、姿が消えた。
そして舞台は蒼の世界へ…そして13回目のラグナロクが始まる
Last Name 桜色の探求者と蒼の姫君 精霊玉 @seireidama
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