ほんわか切なくなる
- ★★★ Excellent!!!
テレビのスイッチをつけ、少年は青年となる。
【世界観】
世界観としては、主人公(以下祐二君)がテスト機体としてのAI(以下サツキ)との邂逅とのことで、サポートAI黎明期と主人公自体の恋愛の黎明期の部分が上手くマッチしていい世界観に仕上がっている。
【ストーリー】
エピソード毎にテーマが添えられて、終盤にかけてそれらが結び付けられて1つに収束していくという王道の作りになっているのではないか。名を呼ぶという行為、人間とAIとの差異、コミュケーションの距離、恋などの謎や疑問が豊富に散りばめられていて、読んでいて人間とAIモデルの行きつく先を妄想できるのがこの作品の良いところでもある。
【キャラクター】
あえて明るい清涼剤的なキャラクターを廃することでシリアスな雰囲気を演出しているのだろうか。その中でも好きなキャラはトモヒロである。まるで遊び人が極まり賢者(あるいはAIのような超人的な意志)になるようだ。もしもトモヒロが女学生であったなら裕二君はサツキとは出会わなかったであろう。そのサツキはこれまた超然とした存在として描かれているが、行動の裏付けとして主人公の所有物故の立場の弱さがあり、そこにもえた。「テレビをつけてください」という台詞は私の中でもベストフレーズかも。
【まとめ】
完全に評価を下すのは時期尚早なので★3とさせていただきます。この世界観でお話をもっと読みたいと思いました。初めての長文感想で、長々と駄文を書いてきましたがここまで読んで下さった方がもしいたら、とても嬉しく思います。ありがとうございました。