第438話転勤と脅し

気の早い台風の後倒れた草花や野菜を起こしに回ります。

先輩のNPOの理事長は夫婦で島根の移住先に1か月お試しのお泊りに出かけています。

NPOの引継ぎはすでに始まっています。

「今から出発しますか?」

「ええ、2泊3日になるので今回は娘も連れて行きます」

編集長がリュックを背負った娘とこれから列車で出かけます。

娘は生まれて初めてのお泊り旅行ではしゃいでいます。

半農半xの田舎暮らしのフリーペーパーの連載をこれをモデルに始めるようです。

二人が出ると私は砂栽培のハウスのトマトを覗きに行きます。

今回は思い切って会員たちの希望で大玉に挑戦します。

教室の会員が育てた苗を10日前に植えましたがもう黄色い花が咲き始めています。

「今いいですか?」

もう聞きなれた弁護士の心配ごとのある声です。

「判決が出るのですか?」

訴えの変更をして前回は被告の反論があったのですが従来の繰り返しでした。

「実はこの時期の悪いパターンになったのですよ」

「悪いパターン?」

「今の裁判官が転勤になったのです」

転勤!私は今まで何度か裁判の経験がありますが、この転勤でいつも思いがけないことに。

「裁判官は現状では60歳定年は結論が出せないので引き継ぐことにしたと言っています。次の裁判官は60歳定年は厳しい判断が予想されそうで、ここでもう一度最後の和解法廷に出てほしいとのことです」

「先生は?」

「うちの代表とはまだ話し合っていませんが、今回の和解を受けないと仮払い賃金の返済を覚悟する判決もあると」

「まったく脅しですね?」

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