第439話仮払い賃金停止

トマトも実がなり始め、NPOの生徒は脇芽掻きに大変です。

今日は透析がないので朝からNPOに入っています。

暑くなって水分補給が難しく、低血圧状態になり100を割ると気分が悪くなります。

「室長、理事長がお呼びです」

編集長がデジカメを持って温室を覗きます。

理事長は最近は行政に出かけたり、理事と個別に相談したりで話をすることもありませんでした。

「意見を貰えないかね?」

理事長は自らコーヒーを入れてくれます。

「まず行政の助成金の件だ。どうも来月から半分がカットされる。これでNPOでは大半が赤字になるそうだ」

「いよいよですね?」

これは想定内のことですがそのために利益率を上げてきたのです。

「今までNPO内でフリーペーパー事業が色眼で見られていたのですが、この事業が半額助成金カットの救世主となります」

「理事たちも今回それを理解したと思う。だが職員の給料水準のアップの件だがこれはどうする延期か?」

「それは不味いでしょう?でも見直しは必要かと。ここ1年取り組んできた天下りの問題もほぼ解決しましたが、利益の出ない事業をどうするかはまだ理事たちの反対があり解決できていません。これは私がまとめた事業の整理案です」

「半歩先実行と言われてきたが追い込まれたな?それと君の問題だが?」

私は透析と裁判で時間を割かれるのでボランティアでNPOを続けて来たのですが…。

「実は私は労働裁判を続けてきたので腰が落ち着かないと思い、でもいよいよ決断をする時が来てしまったのです」

弁護士から今回今までの仮払い賃金停止があり得ると伝えられています。

63歳からの人生設計の見直しです。

「私の見直し案も理事長に提出します」

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