第437話田舎生活

透析にはGWも正月もありません。

果てしなく続く繰り返しです。

「今日で333ですよ」

「その数字は何?」

始めてここに来た時に足が吊って揉んでもらった看護婦さんです。

「それは透析回数です。やく2年が経ったということですね」

体調は透析前よりはるかに好調です。

NPOの仕事で適度に運動をしたり難問を抱えたり・・・それがいいようです。

労働裁判は透析より遥か前に始まっていてもう4年になりますが終わる様相が見えません。

これも私の重要な生活の一部になっているようです。

今日は久しぶりに透析の後NPOの理事長をしている銀行の先輩と昼酒を誘われています。

銀行時代から通っている京橋の居酒屋を覗きます。

「へえ!編集長も呼ばれているんですね?」

編集長の横に一人娘が座っています。

「私の自宅と理事長の家は同じ町内なんですよ。子供を奥さんに預かってもらうこともしばしば」

「孫のようなものやな」

「それはそうと引退するという噂があるけど?」

それは編集長から聞かされていたのです。

「ああ、ついに70歳になったから憧れの田舎生活を始めたいと」

「そうなんです。去年には7か所奥さんと回られていたんですよ」

「今のNPOはどうするのですか?」

「一人交渉を続けているわな」

「いいですね?」

私は透析と労働裁判で身動きがなりません。

でもその中で楽しさを見つけています。

「それで君にその彼の補佐を頼みたいんだ。今の君のNPOの支店にしてもらおうと」

「そういう方法もありましたね」

現在新理事長が確かに今のNPOの支店構想を言っているのはこのことのようですね。

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