第436話将来の展望

新しい小学校跡のNPOの校庭は貸農園はすっかりできたのですが、残りの場所は職員の手作業でボチボチとこなします。

今日は朝から手の空いたメンバーが手作りの花壇に畝で作った花苗を植えます。

しばらく春の雨が続いていましたが桜が散ってすっかり暖かくなりました。

半農半xの生徒さんも自主的に30人ほど集まって手伝ってくれています。

「室長、ちょっと弁当食べながら相談に乗ってくれます?」

編集長がコンビニで弁当とお茶を買ってきて芝生に座ります。

「理事長と理事ではNPOの運営にまだ論争が続いていると?」

「そうですね?新しい理事の方は理事長に賛成されているけど、古い理事は難しいね」

NPOはボランティア活動に徹するべきだという考え方から抜け出れてないのです。

だから運営費となると補助金頼みで知らん顔をします。

だが若い人を中心に世間並みの所得を求める声が強いのです。

改善されたと言ってもまだ2割低いのが現状で将来の伸びも期待されません。

「今年で4名が辞表を出しました。結婚した人が2人に子供ができた人が1人、あとは今年入ったばかりの新人です」

彼女が面接を担当しています。

「実は理事長に賃金水準の長期計画を頼まれています。私は今年中で世間並みの所得を実現できると見ています」

施設の移転と天下り公務員の整理ですでに今の財源で十分です。

「私の娘も今年から小学生です。せめて大学まではここで頑張りたいと」

「今月末の理事会で理事長は私の所得見直しを提案します。強行突破も考えています」

「もしできなければ?」

「NPOから株式会社への移行まで検討していますよ」

私はNPOで利益を上げて若い人も参加できる組織を考えています。

透析生活の私が残していきたい財産です。

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