第433話定年退職後破産

今日は火の出るような吊りの痛みに血圧が200を超えました。

私がここに通院始めた時に入ってきた看護婦が足を揉んで薬を飲ませてくれます。

ドライウエイトがさらに500上がりました。

「私は今日で卒業です。次は新しい仕事を主人と頑張ります!」

時々いろいろ質問を受けていたので、

「ありがとうございます。頑張って!」

と痛みをこらえて笑いました。

透析患者はここを卒業するときは死を迎える時だけです。

足を引きずりながらそれでも歩いて新しいNPOの本部に向かいます。

今日から新しい教室が始まります。

すでに背広を着た生徒が集まっています。

編集長がプリントを配布してパソコンのセットをしてくれます。

「定年退職後破産と言う言葉をご存知ですか?」

私は定年前の公務員に話します。

約1時間ほど定年後財産的にも精神的にもそう遠くない時に破産を迎えると言う話をしました。

今日は開所式と言うことでこの後一人ずつ5分話してもらいます。

この3か月の研修で次の人生を見定めてもらいたいのです。

終わると編集長と校庭に下ります。

「いい感じでしたね?」

「これは私にも大きな課題ですからね」

私も透析と労働裁判を抱えて後半の人生を生きていくかかかっているのです。

「立派な砂栽培の温室ができたね?」

部員が中からイチゴを持って出てきます。

「半農半xの教室も始まっていますよ」

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