第389話時は金なり

「今日は来られますか?」

透析が終わって携帯を見ます。

編集長からの確認メールが最近はよく入ります。

透析後は水をしっかり抜いているので、ふらふらしたり失神することがあるのです。

「4時に知人と言う人が来るそうです」

今日は安心のために歩くのを控えて地下鉄で出かけます。

NPOに着くと応接で少し待ってもらって、新理事に頼まれているNPO体質改善セミナーの進捗報告です。

これは自前セミナーの第1弾で今回の改革を5回に分けてすでに募集も始めています。

「いや待たせました。どうしていたのですか?」

彼は3年前にシニアNPOのNPO設立の教室での同窓でまだ34歳だったと覚えています。

「卒業の時はいろいろ相談に乗ってもらいましたが、結局見切り発車でNPOをこしらえたのです」

あの頃はやりたいことが漠然としていて、資金の問題が解決できていないので私は反対しました。

「動き出して考えようと始めたのですが、ついに3年が経とうとして・・・」

そう言って活動の記録と決算書を見せます。

「それで見つかりました?」

「まだ漠然としてるのです」

「それなのにもう300万の赤字ですね?これからも?」

「いろいろ思いついたことを始めたのですが、メンバーはその都度入れ替わって子供のなりたい仕事のテーマは変わらないんですけど」

「きっとあなたは社員の気持ちでNPOを経営していませんか?」

「どうもそのようです。それでこのセミナーを受けようと来たのです。ここにおられたのですね?」

後で編集長に聞いたのですが、このセミナーの募集人数が20名でしたが、30名の部屋に替えるそうです。

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