第286話穴ぽこに落ちた

今日は久しぶりにスーツにネクタイを締めての外出です。

弁護士の関係で『不当解雇』の話をすることになったのです。

膀胱痛の件で1時間の話の後トイレ休憩を貰って、それから1時間質疑応答です。

若い時はしばらく全国周りの講師の仕事をしていた頃もあります。

とくに原稿は用意せず、簡単なレジメだけを配ります。

「ブラック企業という言葉がありますが、先生はその会社をどう思いますか?」

「そうですね。ブラック企業と言っても様々な形があると思いますが、私の勤めたこの会社の社長は全くブラック企業だとは思っていませんね。別の角度から見たら立身出世伝にもなりそうな社長です」

「憎くはないのですか?」

「可哀そうだと思います。でも彼が作ってきた自ら発信しない会社運用がブラック会社の重要な要素を作ったといえます。賛成も反対もしないで陰でその時その時社員を評価するのです。だから社員は常に社長の求めている答えを過激に追い詰めてしまいます。今裁判をしているのですが、私の場合解雇理由が始め出て来ず、今はコロコロと変わるのです」

「社長と社員が作っているのですね?」

「そうだと思います。懲戒解雇を社長が決めたわけではないのです。会社都合でという社員に懲戒解雇を唱えた社員が1歩早かっただけです。これは単なる出世競争だったようです。でも社長は何らの意思表示をしないまま不思議な裁判が続いています。今は弁護士が勝手な想像で引き延ばし続けています。それで今は解雇理由が私が辞めてから起こった売り上げ不振の責任者になっています」

話し終えて自分でも穴ぽこに落ちた感覚でいます。

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