第282話初診

透析の後、障害年金の申請書類を提出するのに1時間半並んでいます。

先に昼ご飯を食べておくのだったと反省です。

若い女性職員に呼ばれてカウンターの席に掛けます。

「必要書類の戸籍謄本(請求の3ヶ月以内に発行されたもの)、診断書、病歴・就労状況等申立書、年金手帳、被保険者証、普通預金通帳または郵便貯金通帳と揃っていますね。診断書の初診日が空白になっています。これは病院で記入してもらってください」

まさか!先生が記入漏れしてる?

「病歴・就労状況等申立書もそれに合わせて書き直してください。一度上席にもう一度見直してもらいますからここでお待ちください」

と言って中の部屋に引っこみます。

やはり1度では済まないようです。

今度は20分後に男性の職員が難しい顔で現れます。

「障害年金の要件には初診日要件、制度加入要件、保険料納付要件、障害要件の4つがありますが、あなたの場合初診日要件が問題がありますね。ここにある初診日は見たところ内科の先生の診察日になっています。でもあなたはここで腎不全の疑いを発見されたわけではないと思うのです」

「はい。会社の定期的な健康診断で要審査を受けたのです」

「そこが初診となります」

「何を取れば?」

今度は男性職員が中に引っこみます。

なんとここに来て2時間半が経ち腹がぐ~と鳴ります。

「取りあえずその時の健康診断書を添付して東京に判断をしてもらいます。こちらで判断はできないのです」

何とも厄介な制度のようです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る