第260話語れないこと

久しぶりに農業訓練の教室に出ましたが、隣の席は空いたままです。

体調は今までよりはるかによくなっています。

帰りがけに農業訓練校の校長室に呼ばれます。

「病気の方はどうなんですか?」

「ええ、後わずかですから何とか卒業したいと」

「そうですね。今後卒業されてどうするのですか?」

「まだやり残したものがたくさんありそれを整理してからと思っています」

労働裁判と透析のことは先輩のシニアの理事長以外伝えていません。

「隣の席の彼女はもう辞めたのですね?」

「いろいろ聞きたいことがあるって、最後の農業実習の日に残念がっていましたよ。そうそう」

と言って引き出しからメモ用紙を出してきます。

「彼女もいろいろ事情があるようです。今回は住まいも変えて小豆島に行ったようです。これはパソコンのアドレスですが、渡してほしいと預かっていました」

いろいろ相談したいと言っていた言葉を思い出しました。

さっそく家に帰って『元気ですか?』のメールを流しました。

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