第213話記憶はあてにならない
尿酸値が上がっているらしくむかつきが続いています。
3日後、彼女から16枚にわたるボイラートラブルの写真が送られてきました。
「不正をせめても暴いてください。証言も覚悟しています」
とコメントがついていました。
彼女らしく現状の写真と、不正工作をしたビフォーアフターの写真が並べられています。
これは証拠としては十分です。
後は私のM火災に出した報告書をいかに探せるかです。
今日は定例の労働裁判の弁護士との打ち合わせです。
「今回も証拠が出ず1回延びました」
「裁判官は何か言わないのですか?」
「心証は悪くなっていますがねえ。柱としては例の血判書を重大証拠と言い続けています」
「でも盗聴録音は評価されてないんですね?」
「よく分からないと言うのが裁判官の感想です。ただ不正の証拠を出すと言っています」
「確かに社員を動員して証拠探しをしているのは聞いていますが、不正をしたことは全くないので無駄だと思います」
これは昔勤めていた会社で社会的な大きな事件に遭遇しています。
その時に毎日のスケジュールの記録を残すことを学びました。
記憶とは当てにならないものです。
「とにかくこちらは刑事事件とは交わらず労働裁判で貫いていきます」
これは私と弁護士の合言葉です。
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