第212話証拠写真
帰ってUSBの中を調べてみましたが、M火災に提出した資料が見当たりません。
今日は帰りがけに女房からすき焼きの準備を頼まれていて市場に寄り道です。
33%報酬料を引かれていますが、賃金の仮払いのお金は助かります。
女房のパートと合わせてそれでも足が出ます。
早く年金のとれる60歳が待ち遠しいです。
「あれ!」
「ご無沙汰しています」
やはり買い物かごを下げた不動産事業部の彼女です。
公園の長椅子に掛けてしばし話をします。
「ご存じたと思いますが、工事課長の口車に乗せられて年甲斐もなく不倫をしました」
言葉が繋げません。
「今は彼に追いかけられるのでこの近くに引っ越ししました。やはり職を失いたくないという気持ちが強かったののだと思います。彼には奥さんも子供もいるようです。でも今は完全に吹っ切れています。この近くの不動産屋でパートをしています」
「忘れることです。ところでホテルのボイラーの損害保険の申請は知りませんか?」
「それは私が工事課長に頼まれて火災保険の代理店の男とホテルに出かけて撮りました。何枚も撮りましたが、使えるのはわずか1枚だけだったのです。それもその男がわざと破損させた部分です」
「写真は今も?」
「はい。私のパソコンに入っています。彼は脅しの材料になると漏らしていました」
「メールで送ってもらえますか?」
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