第211話損保不正請求疑惑
「この証拠を見てどう思いますか?」
今日は職業訓練の後、原告の弁護士がテーブルに証拠書類と告発文のコピーを置きます。
「これは不動産部長が再度警察に持ち込んだのです」
「親父さんは何とか部長を引き込んで巻き返しを考えているのだろうと思いますが、この男は信用ができません」
「弁護士の方も同じ意見ですが」
「確かに書いてあることは事実です。おそらく総務部長が工事課長と損害保険の代理店と組んで、ホテルのボイラーにこの写真にあるような状態を作り出したと思います」
「ではこれは事実ですか?」
弁護士が便箋に文章を書き込んでいます。
「ただこれは伝聞です。部長はこれには全く参加していません。総務部長が自白するわけはないですが、問題はすでに退職した工事課長の証言が入ります。でも彼は使い込みとこの事実を相殺して円満退職しています」
「証人の線は弱いですね。証拠はどうですか?」
「写真はこれはどの損害保険会社に出したものか分かりますか?」
「これは今回保険を1億下ろしたK火災です。これは工事課長から貰ったものらしく日付も入っています。K火災にも確認済です。ただ事故説明書などは出せないとのことです」
「実は在籍の時にもうこのボイラーが危ないと報告を受けていて、当時のメインのM火災に私が書類を作って打診していたのです。でも回答は保険が下りない老朽破損と言われました」
「その資料は面白いですね。それが手に入ったら」
「一度私のパソコンの中を探してみます」
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