第214話最後のUSB
いよいよシニアNPOの職業訓練も終わりです。
どういう訳か最終の発表会の代表に選ばれてしまいました。
ですが残念ながら、この訓練の中で私の第2の人生は見つかりませんでした。
またもや相棒の部長から何度も着信がありました。
「すいません忙しいところ。本社がついに賠償訴訟を起こしたのです!」
初めての原告としての反撃です。
「訴状が不動産部長と課長とその部下と私の4人の連名で来ています。私はすでに和解しているので問題ないでしょう?」
かなり慌てている様子です。
「前回の件での裁判はできませんが、何を訴えてきたのですか?」
「専務の不正を探していたら専務のは出て来ず私らだけが出てきたのです」
「以前にそんな話があったように思いますが?」
「証拠が揃わなかったのです。それが見事に取引先の証言と領収書など揃っているのです。それでこちらで打ち合わせになったのですが、課長が連絡が取れないのです」
「総額は?」
「1000万足らずです。大半は不動産部長のものです」
「課長が総務部長に抱きこまれたのではありませんか?」
「やはり!」
「ところでM火災に送ったボイラーの報告書を覚えていませんか?」
「あれはずっと最後までデスクトップに残っていたように思います」
そうか。一番最後のUSBに入れて懲戒解雇ですっかり背広のポケットに入れたままでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます