第173話不起訴

ここ数日カリウムの薬で便秘状態が続いています。

刑事訴訟の弁護士から証人調書がメールで送られてきたので1時間かけて読み直しました。

多少強めの表現になっていますがOKの電話を入れます。

「今朝本社の社長が釈放されましたよ」

やはり20日間だったようです。

「別件逮捕については認めたようですが、不起訴処分となっています。これで警察はメンツがったったようですね」

「不起訴?」

「検察官が公訴を提起しない処分をすることを言います。今回は証拠不十分ということらしい。つまり貴方も言っていたように社長が自ら今回の会社乗っ取りをした事実が出て来ないのです。作業は確かに息子が行っていますが、乗っ取りの意志で作業はしていないのです。それに検察官は貴方が出向する前から取締役間での暗黙同意があったと」

「これで刑事訴訟は終わりですか?」

「新しい事実が出て来ないと難しいですね。取り敢えず民事として進めるしかありません。今回原告の依頼で具体的な乗っ取りでもう一つ民事を私が担当することになりました。何か動きがありますか?」

「これも社内からの情報ですが、派閥争いで更にもう一度ホテルの占拠があるという話です」

相棒の部長の話を社内情報と言って出しました。

「ここに来てもやりますか?社長も今回は持病の悪化で入院しましたよ」

弁護士にはこの奇怪な社員の心理を理解できません。

「彼らは社長によって精神的に慢性の脅迫状況なのです」

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