第139話ローパフォーマー
女房の就職の3度目の面接日です。
失業保険が会社都合にならなかったことで3か月待機の半分の日数で生活が窮地に追い込められています。
不当解雇の打ち合わせで弁護士事務所です。
「ようやく解雇理由書が届きましたがこれは酷いですね」
渡された長ったらしい理由書に目を通してきます。
「ここは顧問弁護士はいないのですか?」
「顧問弁護士はいますが、今回の民事も刑事も受けるのを拒んだと聞いています。だから社員の紹介の弁護士が今は入っています。これは総務課長が下書きを書いて専務が文章を自分なりのスタイルに変えたと思います」
「総務課長は労働審判の経験は?」
「まったくないですね」
「どうも読んでいたら後から不当解雇のマニュアル本を読んで理由を取ってつけた感じですね。たとえば経歴詐称を上げてきていますが?」
私はそういうこともあるかと厚生年金証書を弁護士に見せます。
「次はローパフォーマーであるという長ったらしい証拠のない抽象的な文章です。これは認めてもらうのには会社では相当な準備がされていないと難しいのです。ホテルに出向する前には全くなんらも指摘はされていません。それが出向3か月で即決の懲戒解雇ですからねえ」
「一応経歴書を持ってきています」
「凄い経歴ですね。ローパフォーマーはどこからも説明できませんね。それに総務は懲戒解雇という武器を使うのに何等の準備もないのは不思議です」
「私も分からない瞬間に懲戒解雇が決まったのです」
「取りあえず申立書を作成して見ます」
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