第7話

「彩人さん、ほらこっちこっち!」

駅の階段を登りきったところから下に向かって声をかける。

「凜ちゃんは元気だなぁ。もうちょっとゆっくり歩いても間に合うよ」

人混みで酔ってしまったのか幾分疲れたような顔をして彩人さんが私を見上げる。


篠崎先生と出会って二年と半分、彩人さんと呼び始めて二年が経った。今日は出会いのきっかけとも言える作家さんのサイン会の日だ。


「――さん、今人気だから人いっぱいかもしれないじゃん!ほら早く!置いてくよ!」

ようやく登ってきた彩人さんを急かして書店を目指す。私は春の空を見上げて、つまらない日々を憂いていた高校時代を懐かしく思った。

陽の光を浴びて、青い林檎は今日も少し紅くなる。

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女子校産青林檎 弍ヶ下 鮎 @alchemist1239

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