第6話

私と妻の付き合いは私が小学校の時まで遡る。

小学校三年に上がる時に、私の妻は私が住んでいる家の隣に越してきた。私の嫁は一年生として私の通う学校に入学してきたのだ。

なんでも、都会からの転勤らしい。それで、田舎の祖父母と一緒に暮らすことになったらしい。引っ越してきてきた日に挨拶して以来、会えば会釈をする程度の仲だった。

転機が訪れたのはそう遠くはない冬のことだった。 近所の公園の近くを通りかかった時にい「やーい、とかいもん!」という声が聞こえてきた。公園の方を見ると女の子が数人の男の子に雪玉をぶつけられているではないか。隣に越してきた子であった。ああ、かわいそうに。そんな感想しか浮かばなかった。私は意気地のないことにそこを素通りしようとした。しかし、公園を通りすぎる間際にもう一度女の子の方を見てしまったのだ。そこで、あろうことか、女の子と目が合ってしまった。目に涙をため訴えかけてきている。私は一瞬迷ったが、仕方のない、と重い腰を上げた。相手は下級生数人だ。背はこっちのほうが十数センチ大きい。面倒なことにはならないだろう。そう思い「こらー!」と大声を上げ女の子を助けに行った。

結果から言ってしまえば雪玉を数発当てられ、半べそになりながらも、木の棒を振り回しなんとか追い払うことに成功したのだった。それ以来なつかれ、幼馴染となった。私が高校を卒業する頃には付き合いだし、専門を卒業し東京に就職するとなれば、幼馴染も東京の大学に入学するとのことで一緒に地元を出たのだった。

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