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「鶴田、アップはばっちり?」

緑台第一のブルーシートに戻ってきた。鶴田は入念にストレッチを行っていた。


「はい、いい汗かいてきたんで。先輩、すいません、ストレッチの補助お願いできますか?」

「わかった」

鶴田は身体が柔らかい。僕も見習いたいぐらいに。

「ねぇ先輩。さっきの話の続きなんですけど…」

「え?続き?」

「はい、先輩を動物に例えるならって話です。」

「あぁ、言ってたね。それより鶴田、さっき林の中でさ…」

「カモシカですよ」

「…え!?」

「カモシカなんですよ、先輩の走りは。足の運びがまさにカモシカのそれです。」

「…なんで?それよりさっき、まさに…!!」

言いかけると、鶴田はスパイクとユニフォームを持って立ち上がった。

「先輩、そろそろコールなんで行きますね!俺の応援してくれるの、先輩だけなんですから、お願いしますよ!」

そう言って鶴田は向こうへ走っていった。


「俺が…カモシカだって…?」






「なぁ~、信じてくれよぉ!」

「なんだよ、それ笑」

「葉山お前頭おかしいんしゃないの??笑」

「だ~か~ら~!いたんだって!」

「何が?笑」

「カモシカ!!」

「笑笑笑」

おかしい。確かに俺は見た。青山と一緒に、確かに見たんだ。カモシカをこの目で。

「あ~、もういいや!次、400mだろ?うちから出るやつら応援しに行くぞ!」


「お!みんなを笑わせてくれた後はきちんとリーダーシップとってくれるんすね!

さすが葉山部長は違うなぁー!」

「うるせぇ!てか、笑わせてねえ!さー、応援行くぞー!」


カモシカの一件は、ひとまず2人の心の片隅に置かれることに。

次は400m、そして100m準決勝が始まる。


🏃🏃‍♀️🦌

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