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「とくに、先輩の走りはポンポン弾むっていうか、なんか、動物的な走法なんですよ!例えば…」
「鶴田、それより400mのアップはそろそろじゃないか?」
「あっ!そうでした!ついつい話し込んじゃいましたね!じゃー、行ってきます!!」
鶴田は、寡黙な自分と対照的におしゃべりが好きで、一緒に練習していて楽しい。いい奴だ。さて、僕はもう少し休憩しようかな。林の中なら誰もいないだろうし、1人で佇んでいよう。
林の中をどんどん進んでいくと、競技場の喧噪も全くなく、人の気配もない。さながら神秘的な雰囲気さえただよっていた。
「…あれ?」
林の奥へ進んだ場所には、僕より先に先客がいたらしい。さっきの、予選後に話しかけてきた葉山くん。
「ここは、1年の時から心を静めるためのおれの秘密スポットなんだよなー。マイナスイオンも効いて、いいきもちだぜー。」
彼もここでのんびりしていたらしい。話しかけようかとも考えたが、僕は今1人でゆっくりしたいし、彼を邪魔したくない。何も言わずに立ち去ろう。
来た道を戻ろうとしたその時!
一頭の動物が2人の間を駆け抜けていった!
それはまさに一瞬!!
青山は突然のことで尻もちをつき、その光景を幻かとさえ思った。
同じ光景を見たもう1人、葉山は驚きを隠せない様子で呟いた。
「今のは、カモシカ…!!」
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