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競技場の外に出た。
1500mの応援が微かに聞こえてくる。
この競技場での大会も今回が最後か。
確か、初めての記録会もこの競技場だったな。
中学から陸上を始めて2年間。
最初はスタートの仕方も、走り方もわからなかった。
でも、競技場で走る度に記録が伸びているのが嬉しくて、いつのまにか陸上に夢中になっていた。
今は後輩の鶴田と2人しか練習していなくて、専門的な知識を持った先生もいないけど、それでも毎日が楽しい。
「青山先輩!」
「おお、稜。お疲れ様。」
噂をすれば、鶴田が話しかけてきた。
「お疲れっす!さっきの走りめっちゃ余裕でしたね!三中の葉山さんにも勝つとかやばいっすよ!俺も午後の400mで決勝目指します!!」
「葉山、、、?ああ、さっきの。」
そういえば何度か大会で名前を見たことがある気がする。
「先輩ほんとに他の選手に興味ないですよねー!コイツには負けねえ!みたいな人いないんですか?」
「んー、俺は走れるだけで楽しいから。」
たしかに。ライバルと呼べたり、仲のいい選手は僕にはいない。同じ学校のやつと同じ種目に出ることもほとんどなかったからいつも誰とも話さない。
「そういうところが先輩の強いとこなんですかねー!いっつも平常心というか、調子に波がないと言うか!羨ましいなー!俺なんかいつも乱れまくりですよ!女の子が見てたり、隣のやつには負けねーって思ったり。・・・・・・・・」
止まらない鶴田のマシンガントークを聞きながら僕はゆっくりと競技場の外を歩いていた。
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