第2話 思い
さて、俺はとある日の帰り道に超タイプの超可愛い女性。しかも同じ学校の女性に出会ったしまったわけだったが、特に恋に落ちるということはなかったと思う……。
この俺の恋愛は全て失敗する。
理由は定かではないが、やはり告白をすると全て断られてしまう。そんな体質なのである。
そんなこんなで、俺はずっとあの子のことばかり考えていた。
これを俗に恋というのではないだろうかと今では言えるが前の俺は前提条件として『恋愛は絶対にしない』という頑ななものがあったために一目惚れをしていることに気がついていないのである。
学校に行ったところで彼女のことばかりを考えているわけで、どのクラスにいるんだろうとか何年生なんだろうとか。まぁ授業には集中出来ない。ぼーっとしているせいで先生に怒られるわ、呼び出されるわ、挙句の果てに課題を出された。ふざけんな!
恋愛はしているわけではないと心に言い聞かせながら日々を暮らしていた。
「最近なんか変だぞ?ゆう。何かあったのか?」
「なんもないぜ?しん」
「なんか、ずーっとぼっとしてるし、何考えてるのかわからないし……。あ、お前、恋してんじゃねーの?中学の頃からお前そういうところあるからさ」
「は?ナイナイ!俺は恋をすることをやめたんだ!」
「嘘つけ!顔に書いてある。恋してますって」
こいつなんなんだろう……。
というか、こいつ南條慎之介は俺の中学からの付き合いで、俺の黒歴史をいくつも知っている親友だ。
俺はこいつの察しがいいところが嫌いである。図星をついてくるのが怖い。恋愛になると特に。中学の時も好きな人をズバッと当ててくる。怖いぜ。
「まぁ、お前の恋なんぞに興味はないが、今回は失敗するなよ?失敗したら焼肉行こーぜ!お前の金で」
「人の金で行くのかよ!まぁいいぜ。そのかけ乗ったるわ!俺が成功したらしんの奢りな!」
「面白いことになった」
「人の恋で遊ぶなよ!ん?待て、俺は恋愛なんてしているつもりはないぞ?」
「はいはい。精々頑張りな」
こいつはやっぱり怖い。
というか恋愛か……。時間の無駄だと感じていたものを自分がしているかも?と思うとやはり複雑な気持ちになる。
これでいいのか?本当にいいのか?見ず知らずの人間に恋に落ちていいのだろうか?第一相手は俺のこと知らないのに。
ヘンリーロリンズと言う人が言った言葉がある。
『若者よ、旅に出なさい』と。
そのもし、今ここで恋をすしていることを認めることは俺にとっての旅なのではないか?
先の見えない未来。そこに向かって歩みを進める。それこそ旅なのではないか?
認めていいのか?本当に?
俺はここまでヘタレだったのかと少し自分に嫌悪感を感じる。
だが、二者選択性の人生ならどちらを選んでも後悔するのであればプラスの方向へ進む方を選べばいいのではないか!それで後悔しても自分は前に進んでいる。何も問題はない……はずである……。
不安しかない。
あの女の子は多分彼氏がいる。略奪愛か。難しいな。
彼女には彼氏がいるという仮定は捨てきれない。
よし、諦めよう。
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