君が覚えていて俺が忘れている大切なこと

さつき 

第1話 出会い

 恋愛なんて糞みたいな行為だ!


一歩街に出てみればリア充がたくさんいる。そのリア充どもを見ていてつくづくあんなことに時間をかけている時間がもったいないと。 俺はそう思う。


 時間、金銭、労力の無駄遣いだと思う。


 忌々しいリア充死ね

 この俺、佐藤 悠馬はとりあえず一回も女性と付き合ったことがない。というより、付き合ってもらえないのである。


 中学校の頃、好きな女の子に告白しふられた。まぁその翌日にはクラスの笑いものにされ、めちゃくちゃ馬鹿にされたものだった。


 だが、俺は馬鹿だったのか3か月後には違う人を好きになりまた告る。振られる。馬鹿にされる。この負の連鎖を繰り返していた。


 そして、高校に入学したときにはこの恋愛なんて糞くらいという理論を完成させてしまったのである。


 確かに、カップルを見ていると彼女がほしくなる時がある。彼女がいたらどんなに楽しく煌びやかなスクールライフを送れていたことか……。でも俺は恋愛はしないそう決めたんだ。


 俺の紹介をしよう。スペックは17歳、高2、童貞。


 どこにでもいそうな帰宅部の男子高校生である。こんなところで俺の物語でも語るとしよう。


 

 俺はいつも通りの家路についていた。5時半だというのに空ははもう真っ暗である。


 この時期と言ったらふつうはもうちょっと明るいものだと思っていたが、今年は違ったようだ。というか今日だけが違う気が。


 いつも通りの家路といえど公共交通機関を使わなくてはならないのである。家が駅から徒歩1時間とだいぶ距離があり、バスを使わなくては到底駅まで通うことのできないのである。


 学校からは大体1時間くらいで行けるのだが、バス、電車、バスと乗り換えが多く行くだけで帰りたくなるような登校コースである。


 俺は今、今日7時間授業でとてつもなく疲れていたため『エナジードリンク』を買うために家への直行を取りやめ、家の近くのコンビニへと向かった。

 

 コンビニも案外近くに無く、意外と疲れた。店内に入っていつも通りの飲料コーナーの前に立ってエナジードリンクを探した。が、


「ん?ない?」


 運が悪いことに売り切れていたらしい。


「不幸だ」


 あ、やばい。どっかのライトノベルの主人公みたいな発言をしてしまった。不覚、不覚。


 多分この時の俺の顔は世界が終わる寸前の人間の顔に近かったのであろう。周りの視線がなぜか俺に集まってくる。やめて!そんなに見ないで!照れちゃう。


 超がっかりした俺はすっごい顔のまま店内を後にしようとした。


 が、できなかった。


 何故かって?そりゃーかわいい子がいたからに決まってるっしょ!


 その子は、ポニーテールにもかかわらず首に届きそうで届かないくらいの髪の長さで、顔はそうだな、ハーフっぽいって言ったらわかりやすいかもしれない。


 童顔、身長は155くらい?小柄で触れたら壊れてしまいそうなくらい華奢な女の子で、制服が俺の学校と同じであった。


 見間違いかもしれないがその線はない。俺が普段見慣れている制服を見間違えるはずがないのだ。


 そう、きっと彼女はうちの学校の数少ない『かわいい子』の一人なのだろうと思った。

 

 うちの学校は日本で五本の指に入るくらいのブス高と言われており、かわいい子は本当に一握りしかいない。なぜこんな学校に入学してしまったんだと後悔する男子もいる。むろん俺もその一人なのだが。


 それにしても可愛かった。10秒くらい静止してガン見してしまった。

 あとあと考えてみると気持ちが悪い。


 見入ってしまうほど彼女は可愛かった。惚れてしまいそうになってしまった。

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